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城に戻ってきてからの殿下は、明らかに、いつもと違っているのが分かった。
そのうち、ハイラル国との貿易交渉は毎年の難事として、特に力を入れているのに、身が入らないようで、執務補助官たちが右往左往してると、城内の噂で耳にした。
「表」のことは、殿方の世界のことだから、私にはわからないけれど、珍しく、執務補助官のナオ殿が、私に愚痴をもらした。
「殿下の机の上が、乱れているのを、士官してから初めてみました。
裁決がくだらないと、進まないこともあるので、どうしたものでしょう。
殿下が上の空なんて。」と、いつも、無駄に爽やかな笑顔をふりまくのに、その余裕もないようで、げっそりしていた。
「表」が混乱しているのは、「奥」を家政務長として任されている身として、見過ごすことはできない。
夕食を領主のプライベートスペースの「奥」で、ひとりとっていたカイラスに、乳母子の気安さから問いた。
「最近、あまり食事もすすまないようですし、なにか気にかかることでも?
「奥」に戻ってから、溜息ばかりですわ。」
カイラスは、ちらとマリィに目を向けはしたが、難しい顔をして
「マリィに、言いたいし、言いたくないし、
自分でも、どちらか、わからない。」
と、まるで、子どもの謎なぞのような心情を吐き出した。
カイラスが、また、話すのを、しばらく待ったが、結局、その日は胸の内を聞きだすことはできなかった。




