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1ー4

カイラスは、別荘の主寝室の寝台に運んできた女を横たえた。


マリィに告げた帰還の日は明日だったから、

午後には別荘を立つ予定にしていた。


寝台に横たわり、規則正しい寝息をたて健やかな眠りにつく女の処遇をどうしたものか。


戦乱の世から歳月がたち、オビ国は平和を謳歌して久しいが、王族所有の別荘にいきなり現れた素性の知れぬ年若い女は、やはり、なんらかの対処が必要なことだろう。


オビに住まうものであれば、大概髪の色は金色か金色に近い茶で、瞳は色のグラデーションはあるが基本は青い。たまに、カイラスのように先祖帰りといわれる琥珀色をするものがいることにはいるが。


その女の髪の色は、闇夜色で、オビ国の子どもに物語として伝わる、夜の世界を司る女神ヴァイオラニのようだった。


ヴァイオラニは闇夜色の髪をし、菫色の瞳をした美しい女神と言い伝えられていた。


女の瞳が何色なのか、ただ、目を開けたところを見てみたい...女に沸き起こった興味から

カイラスは、滞在を延ばすことに決めた。


城で帰りを待つマリィに、理由は書かずに別荘での滞在を延ばすことだけを報せるための

伝書鳩を放った。


身の回りのことは自分でできるし、城にいる時のようにとはいかないが、ある程度快適に過ごせるように整えられているし、少しくらい滞在を延ばしても城内のことはマリィがどうにか采配をふるうだろうと楽観的に考えることにして。



素性のわからない女と同じ寝台で横になることが、良いことなのか、カイラスにはわからなかったが「私の寝所だしな」とつぶやいて、女と少しだけ距離をあけて寝ることにした。


寝台に横になってからも、女の美しい横顔を飽きることなく見ていた。


月光を浴びて、女の白い肌が闇夜に浮いて見えて、カイラスには、女はヴァイオラニそのもののように思えてならなかった。


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