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目を通していた書類から顔を上げたカイラスは、しばらく考えてからナオに指示を出した。
「その女から、話しを聞ければ、聞いてきてくれ。そして、城主が城に招待していると伝えろ。そのほうが、手っ取り早い。」
と。
ルリでなく、本当に正気をなくした可哀想な女なら、保護し、救済院か施療院に入れ、
ルリであれば...。
カイラスは、ルリに出会い、ルリに金環を授けたことが現実だったのか、もう、自信がなくなりそうだった。
たしかに、ルリに触れ、口づけもしたはずなのに、そして、また、心は囚われたままなのに。
ルリであれば...。
カイラスの前から、ルリが姿を消した時に、ルリのあからさまな拒絶に、このまま、捨て置くのが、ルリにとってはしあわせなのか、と考えもした。
だが、ルリのほうから、やってくるというのであれば、会わない理由はないだろう。
ルリは、どんな顔をするだろう。
逃げ出した男を目の前にして。




