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瑠璃が一夜の宿を求めた場所には、幅広い年齢層の女たちがいた。ただ、幼いこどもなどはおらず、瑠璃がいちばん、年下のようだ。
老女に伴われ、木造の簡素な造りの少し廃屋に近い建物に入った。
見た目が、耐震強度はかなり不安を感じさせるものだったので心配したが、家のなかは、家庭的な雰囲気に満たされ、清潔だった。
瑠璃を一斉に見た女たちの目は、なぜか、同情に満ちたもので、何人かの年嵩の女たちが
瑠璃をなだめるような、優しい声音で声をかけてくれた。
たしかに、瑠璃は、食事も取らずに歩き続け、やつれていた。お風呂にも、入っていなかったから、埃っぽく、着ていた制服のスカートは一部がいつのまにか、ほつれていた。
自分でも、自覚はあったが、ひどい状態だ。
そんな、瑠璃に同情をしているのだろう。
瑠璃は、とりあえず、曖昧なジャパニーズスマイルで、その場を乗り切ることにした。
何人かが、自己紹介をしてくれたので、瑠璃も「小笠原です。」と名乗った。
瑠璃は一晩だけのつもりだったが、老女は瑠璃にここにいて良いと、表情で伝えてきた。
ただ、瑠璃の左手にはめられたブレスレットを検分するように、目をやったので、瑠璃は宿代が必要なのかと、自分で外して、老女に差し出した。
やわらかい笑みを浮かべたあと、首をふり、ブレスレットを凝った刺繍がほどこされたハンカチに包んだあと、瑠璃にポケットにしまうように促した。
瑠璃は知らなかったが、そこは、女の駆け込み寺だった。




