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そこは、賑やかな街の中心から外れた場所にあり、中の建物が隠れるくらい高い壁に囲まれていた。
入り口に門はなく、壁に埋め込まれた木の板になにかが書かれていたが、瑠璃には読めない文字だった。
たまたま、通りかかり、壁沿いを歩いていて、入り口を見つけた。
ここは、なんだろう。
ここで、生きることを決めた瑠璃は、なんでも見て、学ぶことにした。
移動しながら、多少、現地の言葉は耳慣れてきたが、瑠璃には発音が難しく、現地の人をマネて、話しかけてみたりもしたが、相手を笑わせるか、怪訝な顔をさせるだけだった。
多分、なにか、ほかの意味の言葉になっているに違いない。
言葉を覚えるのは、まだ無理そうだった。
そして、また、困ったことになっていた。
大きな街には、なんとか、たどり着くことができたが、ブレスレットをお金に替える計画は、まだ、実現していない。
街中を歩きまわり、一軒の宝飾店を見つけることができた。
意気込んで、店に入り、身振りと日本語で、ブレスレットを売りたいと伝えたが、ブレスレットを見た店主は、瑠璃の顔を穴が空くほど見たあとに、突き返してきた。
怪しい外国人が高価なものをお金に替えようとしたら、確かに、そうだろう、と、自分の計画が甘かったことに、思い至った。
お金を手に入れて、民宿に泊まるつもりでいたから、当てがはずれた。
そして、今晩の宿を探して、街中を歩きまわっていたら、その建物を見つけた。
瑠璃が、なんとか、大きな街にたどり着けたのは、幸運だった。
逃げ出した宿から、一晩歩き通した。
街道に出たところで、馬車に乗る一団に声をかけられた。
彼らは、現地の人とちがい、明らかに、外国人だった。
顔つきは多少似ているところはあったが、皆、髪を細い三つ編みにし、装飾品をジャラジャラつけ、顔に刺青をしていた。
言葉は理解できなかったが、多分、良かったら、乗っけていくよ、と言われていることはわかった。
男が2人、女が5人のグループで、皆、陽気に瑠璃に話しかけてくる。
瑠璃が、珍しかったのか、興味津々な感じだ。
歩くのにも疲れたので、その一団に混ぜてもらうことにした。
彼らの会話のなかに、ブラックウォードという言葉を何度も聞いたから、ブラックウォードが目的地のようだ。
とくに目指すところがなかったし、同じ外国人だと思うと、居心地が良かったので、一緒に連れて行ってもらうことにした。




