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12ー8

庭に面した縁側であのひとがやってくるのを待っている。


おじいちゃんが建てた2階建ての和モダンな木造の家は古いながらも、お父さんの代になってからも、水回りをリフォームしながら住んでいる大切な思い出が詰まった瑠璃の大好きな場所だ。


その家には、玄関脇から庭に抜ける小道を作ってあった。


縁側に面した庭は、建物が和モダンで建てられているのに合わせ、洋風な装いで作りこまれていた。


庭に抜ける小道の端には、鉄製のアーチを潜らないと、庭には出られない。


そのアーチには春先になると、長く伸びた蔓にジャスミンのような香りを漂わせる鮮やかな黄色のラッパの形をしたカロライナジャスミンが溢れるように咲くのだった。


あのひとが、現われるのを待ちながら、その甘い香りに、心満たされる瞬間が好きだった。


大好きな場所で、大好きな、あのひとが現われるのを待つのは、なんて、幸せなことだろう。


カロライナジャスミンのその甘い香りのように、あのひとの甘いささやきと口づけで瑠璃の頭は痺れて、もう、なにも考えられなくなってしまった。


なにか、大事なことを忘れているような気がしていたが、どうでも良く思えた。


ここから、離れたくない。


あのひとが、いてくれる。


背の高い、あのひとが、少し身を屈めて、カロライナジャスミンが咲き溢れるアーチを潜って、瑠璃のいる縁側に、歩いてきている。


大好きなあの人は、太陽を背にしているから

、まるで、明るい太陽の光が、彼を照らして

彼から後光が射しているように見える。


瑠璃の前に立って、縁側に座った瑠璃を誘うように手を差し出した。


逆光であのひとの顔がはっきりと見えないが、瑠璃が、その幸せな気持ちから、にっこり笑うと、あのひとも口角を上げて、笑ったのが、瑠璃にはわかった。

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