あちらとこちらの間
12ー1
瑠璃は朝食を食べながらうとうとしていたようで、マリィに肩を優しく叩かれてはっと目を覚ました。
「食事がすすまないようです。
体調がすぐれないのでしょうか?」
マリィが瑠璃の顔を心配そうにのぞき、額に手を当てて熱の有無を計っていた。
「熱はないようですが、だるそうですし、今日は寝所で過ごしては、いかがですか」
ここのところの瑠璃は、昼間は眠くて、夜は眠れないという日が続いていた。
昼夜逆転の生活リズムを治したくて、昼間に頑張って起きているのだが、今日はとうとう朝から食事をしながら、寝たようだ。
「寝所に戻ったら、寝てしまいそうだから
掃除でも洗濯でも、なんか出来ることがあればやらせて」
マリィの眉が少し寄った。
「奥」では上げ膳据え膳で、瑠璃は手持ち無沙汰だった。
小笠原家では、働かざるもの食うべからずと、瑠璃は祖母から家事の手伝いを子どもの頃からさせられてきたせいか、「奥」での生活はお尻の座りを悪くする。
ヴィグが瑠璃に会いにきてから、庭園には必ず警守がついてくるようになり、庭園からも足が遠のいた。
昼間はなんとか考えないですんでいたことも、夜、寝所でひとり過ごしていると考えたくないことまで考えてしまうから、やはり、今の生活リズムを治して、夜はぐっすり眠りたい。
刺繍や本を読むことは、すでに試して、より眠りに誘われることを実証した。
城内をウロウロするくらいしかすることはないが、それも、毎日していれば新鮮味がなくなりつつあった。
「カイラスは、まだ帰ってこれないの?」
マリィが柔和な笑顔を向けながら瑠璃に教えた。
「ようやく行方不明者の捜索が終わり、河川工事の段取りが始まって、村を再建するところまで進んだようです。
あと少しで、殿下も戻られるでしょう。
殿下が戻られたら、お二人で、別荘にお出掛けになられたら良いですわ。
殿下もルリ様とゆっくり過ごしたいはずですから」
カイラスがゆっくり過ごしたいかはわからないが、エルシアの別荘は二人が出会い、共有したものが多い。
瑠璃はマリィに賛同するように、口にした。
「エルシアに行くのに、賛成。
あの時は、部屋から出てないから、外がどうなっているのか見てみたい」




