表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/120

1-11

貴妃としてカイラスが迎える女は、カイラスを恐れ寝台の上で、その身体を固くしていた。


まるで汚いものでも見るような目で、カイラスを見ている。


瞳に強い怒りの炎を宿して、この理不尽な状況を断罪していた。


オビ国で、カイラスの貴妃の座が欲しい女は数多いるのに、なぜ、この女なのか。


自分の幸運を知りもしない女を、貴妃に迎える自分の酔狂さに、おかしくもあった。


だが、この女が欲しかった。


カイラスに迷いはない。


身につけた飾り帯に吊るされた小物入れから、カイラスが庇護を与える証-太陽紋が彫られた精巧な造りの金環を取り出す。


「お前に庇護を与えるので、受けとって欲しい。」


と、なるべく優しく聞こえるようにゆっくり話しかけてみた。


だが、女は寝台の奥に後ずさり、ますます身体を縮こませるばかりだった。


しばらくの間、女の様子を眺め、「証」を受けとってもらえないことが分かった。


女を乱暴に扱いたくはなかったが、仕方がないと諦めることにした。


カイラスが女に近寄ろうとすると、女は膝を抱え、顔を埋めた状態で泣き始めた。


女を怯えさせないように、ゆっくりゆっくりと細心の注意を払って近づく。


すぐそばまで近づいても、もう、女は諦めたのか、抵抗する素振りは見せなかった。


女の左腕を取り、庇護を与えた証-女が産んだ子に王位継承権を与えるという、女なら、誰もが望むだろう幸福-を授けた。


カイラスと女は、この金環に彫られた誓文のもと、たった今、夫婦になった。


カイラスは女の名前すら、いまだに、知らなかったが。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ