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10ー11

ぎこちない沈黙が、そこにはあった。


ルリもヴィグも、お互いに身じろぎもせずに向かい合い、その視線をどちらも外せずにいた。


ルリの(おもて)には、混乱と惑いと、なんと表現しても言い当てられないような複雑な色が浮かんでいる。


先にルリが視線をはずし、足下に視線を落としながら、なにごとか、口にしようとした、そのときだった。


温室に造られた人工の滝が流れるその先に向けて、ヴィグが声をかけた。


「聞いていたのだろう、ロンブレン」


水音がここちよく聞こえる人工滝の裏からマリィが静かに、二人の前に姿を現した。


「そんなに殺気だっていたら、お前がいると、俺に教えているようなものだ」


「お約束して頂いたはずですわ。

ルリ様を傷つけたりしない、と」


険しい表情で、マリィはヴィグを責めるように口にした。


「バルク・ロザが不在の今、ルリ様を連れ去るようなことがあれば、オビを敵にすることになりますが、ハイラルにその覚悟あっての上でのことでしょうか?」


ヴィグは胡座を解き、立ち上がって、マリィに向き合った。


その姿は悠然とし、少しもマリィの脅しが効いている様子はない。


「ハイラルは大国オビと違い、領土も狭く気候も厳しい。だが、気概と勇猛果敢を旨とする誇り高い戦士の国。悠久の昔より、他国に攻められても独立を維持してきた。オビに負けるとは、思わない」


マリィとヴィグの間に冷ややかな、そして、どちらも一歩も引くことがないやりとりが交わされた。


人工滝の水音だけがながれ、不気味な静けさが続いていた。


「カイラスはルリに庇護を与えたが、俺がルリに与えられるのは...今は俺の心ひとつだけ」


ヴィグはルリの姿を、その眼に焼きつきるようにしばらくルリを見つめたあとに、秀麗な顔に似合わない苦渋の色をその表情にのせた。


「ロンブレン、安心しろ。

約束は違えることはない」


その場に、戸惑うルリとルリを気遣うマリィを残して、来たときのように不意に立ち去って行った。












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