魔法
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へっこら、ひょっこら、へっこらしょ。
我与えん、ねこの尾の先、
めうしの胃袋の、ねこの瞳の、
こいぬの血の、
お皿の欠片。
へっこら、ひょっこら、へっこらしょ。
(没理由:ブロック記号が格好悪い)
――『天与聖典』詠唱没案・一章二条一項「八方炎刃獄」
三度目に人が滅んだ後、神は人に魔法を与えることとした。
人の言葉は精霊には伝わらず、精霊の言葉は人には伝わらぬ。言葉と繋ぐため、神は幾つかの、人の言葉を精霊に教え、それを教えたことを人に教えた。
人はその言葉をもって呪文とし、呪文をもって精霊に願う。
精霊は人の願いを受けて意味を取り、意味に従い事を為した。
これが詠唱魔法の始まりである。
人は魔法もって、栄えに栄え、増えに増え、魔法を与えた神に深く感謝を捧げた。
紋様魔法や付与魔道具については、詠唱魔法を基に人が勝手に作った物なので、神はよく知らぬ。
神としては、あまり快く思っておらぬ。
精霊に言い聞かせて無為にしても良い所なれど、それをせぬは神の慈悲心なり。
人は神に感謝し、神を崇めるべし。




