ベトベト ネバネバ #2
ルースから少し大きめのタオルを受け取り、また風呂場の中にこもる。身体を拭く時は脱衣所ではなく風呂場の中で。普段の習慣が染み付いていた。この世界にいてもそれは変わらないらしい。
「はぁ………………」
ため息が出る。まだ少しベトベトしているし、少し臭いだってする。ルースが避けろ、と言ったのはそこに理由があるのだ。
ミクは自分の身体を見ないようにしながら、水気を取る。どれだけ見ないようにとしても、完全に見ないということは無理なのだけれど。
「慣れないとなぁ…………」
このゲームをする時は、絶対にこの姿。別に嫌だとは思わないけれど、なんかむず痒い。
現実の自分よりも身長がかなり低くなっていることもあるから、そこにも慣れないといけない。
タオルを首にかけて、少し屈伸してみる。
「…………っしょ」
なんとなく、してみただけ。屈伸をしたからといって、何かが分かるわけではない。ただ、なんとなく。
まだ2日目。このゲームのリリース日からまだ2日しか経っていない。これからもっと楽しくなることだろう。そうなったら、この姿でいても違和感が無くなってしまうかもしれない。逆に、現実での姿に違和感を覚えてしまうかもしれない。
「ルース? 服、乾いてる? 」
現実と同じように洗濯機があり、服を洗濯出来るようになっていた。だから、ミクはベトベトになった服を洗濯していた。
「いや、まだだよ」
「そっか…………」
もちろん、ミクは他の服を持っていない。最初からあるやつしか持っていない。神猪を倒して、その後に武器を買って、それから服を買おうと、そう思っていたから。 【ウネル】の出現によってそれが狂ってしまい、今に至る。
ジェーニィが余分なふくを持っていると言っていたが、それをミクが着ることは出来ない。
基本的に服も装備形式になっていて、男女兼用、男用、女用の3つがある。ジェーニィが持っていたのは男用だったわけで、女の子であるミクがそれを着れるはずがなかった。
「後……どれくらいかかりそう? 」
「うーん。後10分くらいかな? 終わるまでそこにいる? 」
「うん。そうする」
「風邪、引かないように」
「大丈夫だよ。温かいから。それに………この世界で風邪ってひくのかな? 」
「どうだろうね。感覚は全てあるわけだし、実際の身体ではないけれど、こうやって新しい自分の身体があるわけだからね。その辺りは一緒なんじゃないかな? 」
「それもそうだね…………」
いる場所が現実なのかゲームの世界なの。それが違うだけで後はほぼ同じだ。何も違うところはない。
立っているのもなんなので、ミクは壁にもたれかかるようにして腰をおろした。
後10分。のんびりしておこう。




