Let's party #10
「ひ…………」
「ひやっ…………」
【ウネル】というモンスターを視界に入れてしまったミクとミキは、悲鳴をあげざるを得なかった。
今のこのメンバーにプラス2人をパーティーに入れて横並びで歩いたとしても歩けるほどの幅があるこの道の端に、【ウネル】がいた。
3mくらいはあるウツボカズラが、いっぱいウネウネしている触手のうちの2本で近くの木を掴んで、ゆらゆらと、4人を通せんぼするかのように動いている。左右に1匹ずついるから、余計にだ。
「うわぁ…………。あれが……」
「仕方ないね。倒すしか」
「しゃーなしだな」
ルースが【地上弩】を装備し臨戦体制にはいる。まだ【ウネル】の標的にはなっていない。
ミクは三人を見る。そして考える。
ジェーニィは【風水の籠手】という防具以外、防具らしい防具を身につけているようには見えない。それ以外は普段着だ。
かくいうミクだって、ミキだって、ルースだって、そんなにガッツリとした防具は付けていない。動きにくいというのもあるし、そもそもの数が少ないというのもある。
【ウネル】自身、どういった攻撃をしてくるのだろう。物理攻撃がメインなのか、特殊攻撃がメインなのか。どちらにせよ、今の防具でどこまで防げるか、それは不明である。
「んじゃ、いきますか。俺とミキが左側。ミクとルースが右で」
「了解。あ、ミキ? 」
「どうしたの? ルース」
「【ウネル】が出す粘液には気をつけて。状態異常が起こるのもあるけど、臭いがキツいから」
「うへぇ……そうなんだ。でも、私は男の子だから。2人の方が気にするべきじゃない? 今は可愛い女の子なわけだし」
「それもそうだね」
ルースが苦笑している。
それはそうだ。このメンバーの中では、ジェーニィとミキが男の子。ミクとルースは女の子である。
……可愛いか……。
自分の姿だからそんなことを考えないようにしてきたが、自分は可愛いのだ。現実では男だけど。
「気遣いありがと。ミキ」
「気にしなくていいよ。それじゃ、いきますか」
【レイピニス】を構えるミキ。様になっている。
「さてと。じゃ、まず、僕が先に攻撃するから、その後にミクが攻撃してくれる? 【アキシング】で。この位置からでも届くよね? 」
「う、うん。大丈夫」
ミクは思っていた。自分は怯えていると。普段ならこんなものに怖がりはしない。性別が変わったのと何か影響があるのだろうか。
「【ダウン・アロー】っ! 」
考え事をしていたミクの横を、2本の矢が通っていく。
そのルースの【地上弩】から放たれた2本の矢は、それぞれ【ウネル】が木に巻きつくために使ってたいた2本の触手に命中し、【ウネル】が地面にドサッと落ちる。
今のうちに追加攻撃。
「【アキシング】…………っ」
モーションが終わり次第、ありったけの力を込めて、ミクは【ムーンアクス】を【ウネル】に向けて投擲する。
ぐしゃぁ、と何かが潰れたような音がすると、ミクの攻撃が当たった部分から何やら緑色の液体が漏れ出してきた。
「な、なんか出てきたよ……っ!? ルース!! 」
「あれに触れないように」
「わ、わかった……」
ブーメランの要領で自分の手元に戻ってきた【ムーンアクス】を構え直し、【ウネル】を見る。
【ウネル】から出ている液体は、ゆっくりとしたスピードで、だけど確実にミクを標的に向かってきている。ミクが攻撃したからだ。
「気持ち悪い…………」
だけど、攻撃しないといけない。
それにミクの武器は斧。そんなにリーチが長くないから、どちらにせよ液体より気持ち悪い本体に近付かないといけない。
【ムーンアクス】を下段に構え、ミクは走る。
「てやぁぁっっ…………っ!! 」
【ウネル】から伸びてくる触手を交わしながら、それでいて地面にも気をつけながら、ミクは【ウネル】に攻撃をあてる。
「【スカイアップ】っ」
このまま地面に叩きつける攻撃でもよかったものの、これで倒れてくれなかったら元も子もないので、ミクは【ウネル】を空へと打ち上げる技を選択した。
「ルース!」
またもやぐちゃぁという音がなるが粘液は出てこない。ただ、空へ上がっただけ。
体力は減っている。後少しだ。ルースに任せる。
「任されたよ。ミク」
「【チャージ・ショット】」
巨大な1本の矢が、打ち上がった【ウネル】を捉える。
ぶしゃゃぁゃぁゃゃゃっっ。
本体のど真ん中を貫かれた【ウネル】はポリゴン化して消える。
「ごめんっ! ミクっ。よけてっ」
ふぅ、と安堵したミクに、背後からルースの鋭い声が飛ぶ。
「え……………………? 」
その声にミクは何故か空を見上げてしまった。




