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Elysion Online  作者: 乾 碧
2章
44/60

拓斗の日常 #5

「眼鏡をしている美樹(みき)の方が俺は好きだな。でも、無い方も可愛いと思うぞ? 」

「本当……? 」


美樹は、一旦立ち止まった。

拓斗(たくと)も美樹に合わせるように、立ち止まる。


「あぁ」

「そっか……」


美樹はそう小さく声に出し、拓斗の手を離したかと思うと、今度は腕に抱きついた。


「何してんだ……。美樹……」


拓斗は、もう驚かない。何故だか、そうされる気がしたからだ。


「ん? 抱きついてるんだよ? (とも)ちゃんとも、よくやるでしょ? 」

「そうだけどさ……」


こう来ると分かっていた拓斗だったが、若干戸惑いをみせる。智に抱きつかれた時よりも、はるかに柔らかさが自身の腕に伝わってくるからだ。


「行くよ? たっくん」

「あぁ……」


美樹に促され、拓斗も歩を進める。


美樹の顔は、さっきよりもニコニコとしたものになっている。

それを隣で見ている拓斗の顔も自然と緩んでしまうが。


「なぁ、美樹」

「ん? どうしたの? 」

「歩きにくいんだけど…………」


離してくれないとは分かっていても、声をかけた。


「我慢だよ我慢。もう家に着くんだからさ」


美樹はそう言い、空いている手で見えてきた拓斗の家を指差す。


「はぁ……」

「ほらほら、早く行くよ」



「ただいま…………」

「おじゃましまーす」


拓斗は少し疲れた顔を浮かべながら、美樹は楽しそうな顔をしながら、家に入った。


「おかえりなさい。あら、美樹ちゃんじゃないの。久しぶりね。1週間振りくらいかしら? 」

「お久しぶりです。たっくんのお母さん。丁度1週間振りになりますね」


このやり取りを聞いて、拓斗は、そう言えばあの時は、智も含めて3人でゲームの話をしたなぁ、と思い出す。


「夏は毎日来てくれていたから、1週間も空いちゃうと……」

「そうですね。あ、たっくんのお母さん」

「何かしら……? 」

「今日泊まっていっても良いですか? 」


……やっぱり……。


美樹がそんなことを言い出すんではないか、と思っていた拓斗はそんなに驚かない。


「それは構わないけど……。明日も学校でしょう? 教科書とかは大丈夫なの? 」

「はい、それはバッチリです」

「なら、構わないわ。拓斗も良いでしょ? 」

「あ、あぁ……」


ここで拓斗が嫌だと言っても、美樹が今日家に泊まるという事項は変わらないだろう。そういうものなのである。


「今日は晩ご飯頑張っちゃうわよー」


拓斗の母は、そんなことを口にしながら扉を開け、キッチンにへと向かっていった。


「じゃ、行くか……」

「うんっ!! 」

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