拓斗の日常 #3
拓斗はしょうがないなぁ、と言いながら、自分の箸で美樹が欲しいと願った卵焼きを掴み、口を開けて待っている美樹の口に運んでやる。
「はむっ。むむむ」
美樹は、拓斗が作った卵焼きを美味しそうにほおばる。
「どうだ? 」
味を聞く、というのもいつもの恒例行事となっている。
「うん、美味しいよ。でもいつもより甘いかな」
「そうか? 」
拓斗は首を傾げ、美樹にあげたために残り1つとなった卵焼きを自分の口に放り込む。
「あぁ、美樹の言う通りだな……」
拓斗は卵焼きを作るのに、砂糖を使用する。それは美樹のためでもある。美樹が甘いものが好きだからだ。今日は、いつもより砂糖の量が多かったのだろう。
「じゃ、今度は私の番だね」
くいっ、と眼鏡をあげてから、美樹は自分のお弁当箱からアスパラの肉巻きを掴む。
「はーいっ。あーん……」
「あーん……」
「どう? 」
「美味しいな。美樹はよく俺の好みを分かってる」
「当たり前じゃない。毎日のようにこうやって一緒にお弁当食べてるんだから」
「それもそうだな」
拓斗達はここで一旦喋るのをやめ、食べることに集中する。
それから数分後。拓斗は昼飯を食べ終わった。
「たっくんはいつも食べるの速いね」
そう言う美樹のお弁当の中身は、まだ半分しか減っていなかった。
「美樹が遅いだけだと思うぞ? 」
「そんなことないよ」
美樹はそう言いながら、ご飯を口にいれるスピードをあげる。
「あんまりがっつくなよ」
「う、うん。分かってる」
あがったスピードは、すぐに元に戻る。
「食べるの……、手伝おうか? 」
「そうしてくれると嬉しいかな……」
昼休みの残り時間も短くなり、そう切り出した拓斗に、美樹は頷く。
1つのお弁当を2人で食べる。
「美樹があまり食べないってのは珍しいな」
「昨日Elysionをやり過ぎたせいかな……。少し眠たくて」
美樹は、目を擦りながら言う。
「何時までやってたんだ? 」
「12時くらいまでかな……」
「何でそんな遅くまでやってたんだ? 」
拓斗は呆れながら声を出した。
拓斗だって11時までやっていたから、そこまでは言えないが。
「ずっと、洞窟みたいなところにいて、時間気にしてなかったらこんなことに……」
「なるほど……」




