拓斗の日常 #2
「うん。やったよ。沢山友達も出来たし、楽しいゲームだね。Elysionは」
「そうだろ? 」
「まぁ、性別が変わっちゃったのは残念だったけどね……」
美樹は、少し声のトーンを落として言う。
「だって、たっくんと同じ男の子になっちゃったわけだし……」
と美樹は、拓斗に聞かれないように呟いたつもりだったが、拓斗の背中に抱きつき、美樹の顔は拓斗の耳元にあったため、美樹の声は。
「お前も変わったのか? 性別」
拓斗に届いた。
「え? たっくんも変わっちゃったの? 」
「あぁ。あっちの世界では、美樹や妹の智よりも身体は小さいな」
「へぇ……。そうなんだ」
美樹は今度こそ拓斗に気付かれないように、小さくガッツポーズをする。
そんな2人の間に割って入るように、ホームルームの開始を告げるチャイムが鳴り響く。
「こら、そこの2人っ! 早く教室に戻りなさいっ!! 」
2人の横を通った先生が、怒り気味に声をかけていく。
「「はーい」」
拓斗達はゆるーく返事をし、先生を追いかけるように教室にへと足を伸ばした。
昼休み、拓斗と美樹は、いつもと同じように中庭で昼食をとる。
この2人と同じように中庭には、男女のペアが数個見受けられる。もっとも、拓斗と美樹は、恋人同士ではないのだけど。
「寒いね……」
美樹はそう口に出し、拓斗との距離を縮める。
「おい、美樹……。近いって……」
「良いじゃん。寒いんだから」
「まぁ、そうだけどさ……」
拓斗と美樹が仲良くなったのは、2年の春だった。拓斗が中庭で智とゲームの話をしている時、美樹がその話に入ってきたのだった。
これが、拓斗と美樹の出会いだった。
それからは、昔から仲が良かった友達のように、拓斗と美樹はここで昼ご飯をとるようになったし、家も近いため一緒に帰るようにもなった。
「ふふ」
美樹は満足そうな顔をして、自分の膝の上に弁当を置いて、開ける。拓斗も同じ動作をする。
「ねぇ、たっくん。いつもみたいにおかずの交換しようよ」
「おぅ、良いぞ。好きな物どれでも良いぞ」
「うーん。じゃ、卵焼きをもらうよ。たっくんの卵焼き、私大好きだし」
「ありがとう。じゃ、アスパラの肉巻きもらうな」
「うん。ねぇ、たっくん」
「ん? どうした? 」
「あーん、ってして欲しいな」
そう言い終わるやいなや、美樹は大きく口を開ける。




