出現そして戦い #1
「だんだん暗くなってきたね……」
「そうにゃ……」
「…………」
「だね」
変わらず列の前を歩いているハルが、声を作る。トモは背後から来るかもしれない敵に、相変わらず気を配る。
歩を進めるにつれて、暗くなってきたというのには、理由がある。
滝壺の両端には明かりがあるのだが、その置かれている距離がどんどんと遠くなっていて、光がこの滝壺に行き渡らなくなっているのだ。
「ねぇ、朱音……? 」
「な、何…………? 」
「歩きにかいんだけどにゃぁ……」
杏奈が朱音の事をからかってからずっと、朱音はそんな杏奈に気を張ることなく、杏奈の腕にくっつきながら歩いている。
「気にしたらダメよ……」
「急に敵が来たらどうするにゃあ? 」
「うっ…………」
この滝壺に辿り着くまでに、数体の敵が出現したが、それのほとんどはハルと杏奈の攻撃で倒せるレベルのものであった。朱音が【2丁の雷煌】を構えることなく、トモが援護をすることなく、戦闘は終わっていった。
だが、この【アーロン川 滝壺】において、それが通用するとは限らない。
「分かったわ……」
朱音はしぶしぶといった感じで、杏奈の腕を離した。
「にゃ」
杏奈は軽くなった左腕をプラプラと揺らしたり、左肩を回したりしてから、両手で【鎌鼬】を構え直す。
カチッ。
何かのスイッチを踏んだような音がした。
「にゃ……? 」
「何……? い、今の音は……」
朱音がその音にびっくりし、また杏奈の左腕に抱きつく。
「ハル……? どうかしたの? 」
「何か踏んじゃったかも…………」
「「「…………本当に…………? 」」」
トモ、杏奈、朱音の3人の声がぴったりと重なった。
「うん……」
ハルがそう言うのと同時に、地面が揺れ始める。
「わっ! 」
「にゃにゃ!? 」
「きゃぁぁ」
「っっ……」
4人が驚きの声をあげている間にも、最初はそんなに大きくなかった揺れはどんどんとその揺れは大きくなり、立っていられないほどになっていた。
少し距離をとっていた4人は、互いの手を握れる距離にまで近寄る。
「ど、どうしよ……」
「どうしようもにゃいにゃー……」
慌てているハルに対して、杏奈はいつも通りに対応する。
「朱音? 大丈夫……? 」
「う、うん……。ありがと、トモ……」
「ううん。気にしないで」
怖さで震えている朱音に、トモは優しく手を伸ばす。
そうこうしている間に、4人の身体は光に包まれた。




