嵐の前の静けさ #15
「そう言われると恥ずかしいなぁ……」
トモは照れ笑いをしながら、言葉を続ける。
「だって、ハルにもゲームの面白さを知ってほしかったからね」
「にゃるほどにゃぁ……。あ、そうだ。ハル。友達登録しようよ」
「あ、私も」
ハルが「うん」と言うよりも先に、ハルの視界に「朱音さんと杏奈さんから、友達の申請が届いています」というメッセージが現れる。
「うん。これからよろしくね」
ハルは承認のアイコンをタッチし、朱音と杏奈を見つめる。
「じゃ、パーティーくっつけて、早く奥まで行こ……? 」
トモは、杏奈と朱音の2人はもうパーティーを組んでいると思ったので、パーティー合体の申請を、朱音に送った。
どちらがリーダーかは、何となくであったがすぐに朱音だと分かった。だって朱音は、チュートリアルの時にリーダーだったから。
決めた通りに、杏奈、ハル、朱音、トモ、の順番で、アーロン川の滝壺に向けて歩を進める。
攻略サイトで調べた結果、【深淵なる森】より、敵の出現率が少しだけ低いということが分かったが、4人横並びになって、歩くということはしなかった。
その並びでも対処は出来ると思ったりもしたのだが、朱音が「念のためにね……」と言ったから、こうなったのだ。
「あそこみたいだにゃぁ……」
10分くらいは歩いただろうか。4人の視界に目的地が入った。
「そうね」
「それにしても大きい…………」
「このアーロン川の滝は全長20メートルほどあるみたいだね。この滝崖を登った先にもダンジョンがあるみたいだけど、今は行けないみたい」
トモ、杏奈、朱音の3人がその大きさに見惚れている間に、調べたらしいハルが、そう説明してくれた。
「ここから入れるのね……」
その滝から左に少し回った所、まるで4人を待っていたかのように、滝壺への入り口が大きな口を開けてそこにあった。
【アーロン川 滝壺】
トモの視界に、新しいダンジョンに入ったことを知らせるシステムメッセージが届く。
アーロン川とは別のダンジョンとなっているらしい。
両端に等間隔に灯が灯されていたが、その光はそれほど、明るいというわけでもなかった。
「案外暗いんだね」
「そうみたいだね……」
「また怖いのかにゃぁ? 朱音? 」
「何言ってるのよっ!そ、そんなわけないでしょ…………」
「ほんとかにゃぁ? 」
「何よ……」
「にゃにもにゃいにゃあ…………」
少しだけ暗い所が苦手な朱音を、杏奈がからかっている。




