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Elysion Online  作者: 乾 碧
2章
23/60

嵐の前の静けさ #8


だからこそ、トモも周りの気配を感じ取ろうとする。主に後ろからの。


前からの(モンスター)については、心配する必要はない。なぜなら、ハルが守ってくれるからだ。


ハルはそう言ってくれた。トモは昔からの付き合いで、ハルが嘘をつかないということを知っている。


それ故、安心して前衛を任せることが出来のだ。


「もうすぐだよ」


5分くらい経っただろうか。ハルがそう声をあげた。


それに合わせて、トモは薄暗いこの【深淵なる森(ダークネス・ウッド)】に、少し光が射し込んできたことを確認した。


「わぁ…………」


トモ達の視界に広がったのは、流れる1つの大きな川と、そのほとりに咲いている花々だった。


「【アーロン川】マップデータ更新」


システムがそうトモに告げる。


【アーロン川】

深淵なる森(ダークネス・ウッド)】の先にあるダンジョンで、魚系のモンスターが沢山に出現する。チュートリアルで使われるダンジョンの1つでもある。

アーロン川のほとりに咲いている花々は薬草で、合成技能(スキル)と組み合わせて使うことによって、効果を発揮する。


「花だ……」


トモはそこに駆け寄り、しゃがみ込む。


「綺麗なのは分かるけど、気を付けてよ。普通の魚も泳いでるけど、その中にモンスターもまじってるから……」

「うん。分かってるよ」


そう口では良いながらも、ハルの目には全然聞いていないように見えた。


「はぁ……。全く……」


そんなトモにため息をつきながら、ハルも川岸に自分の身体を運ぶ。


花達は単純にアーロン花と呼ばれるものだ。

赤や青、紫や黄色等、様々な種類の色が存在し、赤なら体力ポーション、青なら魔力(マナ)ポーション、といった具合にその用途を変化させる。


ハルもトモと同じように、アーロン花を手に取って、その匂いを嗅いでみる。


「パンジーとか、それに近い匂いがするよね……? 」

「そう? あまり興味ないから分からないけど…………」

「ハルはこれを気に、女の子っぽい趣味を見つけると良いと思うよ? 」

「そうかもね」


まだ花を真剣に、楽しそうに見ているトモを横目で見ながら、ハルはアーロン川を泳いでいる魚に目をやる。


どちらかと言うとこっちの方が自分に合ってると、ハルは思う。


「ちなみに聞くけど……、女の子っぽい趣味ってどんなのがある? 」

「んーと……。そうだね…………」

「あ、こっちの世界での趣味だからね? 」

「あ、うん。分かった……」


トモは額に手を当て。


「今の私みたいに花を愛でてみるってのも良いと思うし、自分の服装に気を配ってみるのも良いかもね」

「服か……。なるほどね…………」


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