嵐の前の静けさ #7
その出てきたウインドウに記されているのは、印で登録したダンジョンである。
「これ、押せば良いんだね……? 」
「うん」
「よしっ」
それを押すと、トモとハルの身体は【深淵なる森】に飛ばされた。
トモ達が飛ばされたのは、チュートリアルでイルヴァーナを倒した場所だった。
「ここに飛ばされたか……」
ハルは周りを見渡し、そう呟いた。
「もしかしてアーロン川まで遠かったりするの? 」
「うーん……。そういうわけではないんだけど……。ここから行く道には敵が出るんだよ……」
「出来るだけ体力は温存しておきたいもんね」
「そうそう。まぁ、出てくるのは小鬼とかくらいだし、そんな喰らわないかもだけど……」
ハルはそう言うと、装備ストレージから自身の武器、【アイシクルナックル】をタップし、両手に装備する。
「それがハルの武器? 」
「まぁね」
【アイシクルナックル】
レア度は2ではあるが、攻撃の際に80%の確率で、相手に凍傷の下位状態異常が起こる。
この世界の【拳】は、他のゲームでもよくある【爪】の役割も少し買って出ていたりもする。
手を握ると、人差し指と中指の間、中指と薬指の間、薬指と小指の間から、数センチの爪がポンっと飛び出すのだ。
「アイシクルってことは、氷属性? 」
「うん。トモのロッドも氷属性だった? 」
「そだね。光属性もあるけど……」
トモも【魔法帽】と【氷光のロッド】を装備し、ハルの隣に並ぶ。
「可愛いね、トモの装備は
「ありがと。私もそう思うんだけど、防御がちょっとね……」
「そうだろうね」
「【魔法帽】の説明を見る限り、魔法に対しては結構守れるみたいなんだけどね。物理攻撃があまり…………」
先日のチュートリアルでは、攻撃を受けることがあまり無かったので、どこまで喰らうのかが分からなかったりもする。
「まぁ、私が守ってあげるよ」
「本当に……? 」
「うんっ。私の武器はこれだしね」
「じゃ、頼むね? 」
「任せてっ!! 」
リーダーはトモであるが、道を知っているハルを先頭に、アーロン川まで歩く。
この道は6人くらいが横になっても歩けるほど、このダンジョンにしては案外広めの道となっていた。
ハルは歩きながらも、周りに目を配っているように、トモの目には映った。
……後ろから来るかも……。
必ずしも敵が前から来るというわけでもない。横からも後ろからも来るかもしれない。




