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Elysion Online  作者: 乾 碧
2章
20/60

嵐の前の静けさ #5


トモは昨日、初めてここにElysion(ここ)に来た時と同じように、ベットの上で身体を起こした。


基本的にログアウトした場所で目覚める事が出来、その場所からゲームを始められるようになっている。

だが、例外が存在する。

ボスフィールドにいる時だけはログアウト出来ない。ボスと戦っている時に逃げるようにログアウトされたら、仲間もシステム側もたまったもんじゃない。


「よしっ……! 」


装備品なのかどうかよく分からない【スツール】を身に付け、トモはゲーム内自宅から飛び出す。


トモが向かう先は、昨日と同じで第4広場である。

【ディティ】の街は広く、広場等を使わなければ、待ち合わせなんて出来たものではない。ましてそれぞれが初心者である今なら、尚更だ。


「まだ来てないか……」


トモは勢いよく第4広場に入り、噴水の前で、その勢いを弱める。


待ち合わせ場所は、第4広場の噴水前ということにしている。

そうした理由は1つだ。

春樹(はるき)も最初に呼び出された場所がここだ、と言ったのでそうしたのだ。


昼休みにチュートリアルの時の話を、先生が止めに入ってくるまでやった。

春樹がチュートリアルをした場所も【深淵なる森(ダークネス・ウッド)】だったらしく、道中に出てきた(モンスター)の話等をした。


やはりというか、盛り上がったのは【イルヴァーナ】の話だった。

春樹のパーティも前衛、中衛、後衛ときっちりとなっていたらしく、自分達が思ってたよりも速く倒せたらしい。


春樹の武器は【(ナックル)】で、かなりリーチが短く、イルヴァーナに攻撃を当てるのが大変だと言っていた。


「トモ〜」


トモの右斜め後ろから、トモを呼ぶ女の子の声が聞こえる。


この世界において、トモの事を知ってるのは杏奈(あんな)朱音(あかね)、そして春樹である。

そして今聞こえてくるのは、この世界で聞いたことのない女の子の声。よってそれは、春樹である。


「春樹……ね? 」

「おぅ……。あ、うんっ」


春樹は言葉使いを女っぽいものに戻す。


……ハルか……。何も捻ってないのね……。


男が女になる場合、女が男になる場合、システムが、現実の名前とゲームに登録した名前とを考慮して、名前を変化させる。


「無理に戻さなくても良いと思うよ? 私は……」

「そうだよな……。でもあれだ。見る目がなぁ……」

「まぁ、見た目は女だからね。いくら性別が変化するという事を知ってるとしても……」

「そうだな……。このシステムも悪くはないってお……、私は思ってるけど……」

「ん? どうして……? 」

「ど、どうしてってか? そりゃ…………」


ハルは言葉に詰まる。


「まぁ、言わなくても良いよ。春樹の思ってることなら分かりそうだしね……」

「それは、嬉しいと思っていいのかな…………? 」

「ふふっ。どうなんだろうね? 」

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