嵐の前の静けさ #4
「ねぇ、春樹……」
放課後。
家までの帰り道、智は春樹の隣を歩いて帰る。
朝は兄と登校し、帰りは春樹と一緒に帰る。これが、智の日常となっていた。
春樹の家は智の家の隣にあるのだが、朝から智は春樹とは登校しない。
それは智達が早い時間に学校に向かうのと、春樹が起きるのが遅いからである。
「ど、どうした……? 」
「いや、何でもないよ」
智はくすっと笑いながら、春樹が話すのを待つ。
「何か、私に話す事があるんじゃなの? 」
「良く分かったな……」
「当たり前でしょ? 何年一緒にいると思ってるのよ」
「そうだな……」
「で……? 話って何? 」
智は前を見据えながら言う。
「智は今日もElysionやるんだよな……? 」
「約束したしね。それに加えて春樹が女の子になったキャラも見てみたいしね」
「じゃ、じゃあさ…………」
春樹は若干、言葉に詰まる。
智はその変化を見逃さなかった。
「どうしたのさ……? 」
「今日は俺の部屋で一緒にしないか? 」
「春樹の部屋で……? 」
「お、おぅ……。その方がゲーム終わった後、色々話せるだろ……? 」
「そうだね……。なら、そうするよ」
「ただいま」
「おじゃましまーす」
智は自分の家でなく、隣の春樹の家に入った。
「おかえり。あ、智ちゃんじゃない。久し振りね」
靴を綺麗に並べ、春樹の後に続き階段を登ろうとすると、2階から丁度春樹の母が降りてこようとしていた。
「お久しぶりです」
「春樹の部屋ね」
「はい」
「またゲーム? 2人とも本当に好きね」
「母さん。話は後で良いからさ」
「そうね。まぁ、勉強をちゃんとしなさいよ」
「分かってるよ……」
春樹が、Elysionをプレイするために必要な【Anker】起動するためにパソコンの電源を入れる。
智はそれを確認してから、春樹のベットに腰掛ける。
【Anker】。
Elysionをプレイするために必要なハードである。
これもElysionと同じようにパソコンに取り込んでおいて、ゲームをしたい時だけにそれを起動するだけで、その【Anker】がセットされている部屋にいると、そのゲームの世界に入ることが出来る。
「よしっ…………。なぁ、智」
「ん……? 」
「もうやるか? 」
「うん。そうだね」
智はそう言うと、自分の横をポンポンとし、春樹に隣に座ってと行動で示す。
「俺、そこに座るの……? 」
「うん。その通り」
春樹はしぶしぶといった感じで、智の隣に座る。
「おい……。智……」
智は春樹の肩に自分の頭を預ける。
「これくらいしても良いでしょ? 久し振りに来たわけなんだしさ……」
「仕方ない……。じゃ、やろうか」
「うん」




