嵐の前の静けさ #3
「それのことなんだけど・・・・・・」
「どうした? 」
智は申し訳なさそうに、答えた。
「今日は春樹と一緒にやることになってて・・・・・・」
「そうか・・・・・・。それなら仕方ないな」
「ゴメンね? にぃ・・・・・・」
「気にするな」
「うんっ」
高校に着くと、智と拓斗はそれぞれの教室に足を運んだ。
「さて・・・・・・。今日も頑張ろっと・・・・・・」
自分の席に座ってから、そう小さな声で呟く。
家に戻ればElysionが出来ると思えば、早く帰りたいという気持ちに加え、頑張らなければ、という気持ちが自然と湧いてくる。
「智〜」
机の中に教科書やノートをいれ終わると、智の背後から智を呼ぶ声が聞こえる。
「春樹? どうしたの? 寝不足? 」
智は後ろを振り返り、春樹の顔を見てから話す。
「まぁ、そんなところ・・・・・・」
春樹は苦笑しながら、自分の席に座る。無論、その席は智の右隣である。
「何時までやってたのさ? Elysionやってたから、寝不足になってるんでしょ? 」
「あんまり覚えてないけど・・・・・・、多分、12時くらいまではやってたと思う・・・・・・」
「12時!? そ、それはどっちの時間? 」
「現実の時間だよ。Elysionの時間だったらもっと疲れてる・・・・・・」
「それもそうね」
「眠い・・・・・・」
「まだホームルームまで少し時間あるし、寝ておく? 私が起こしてあげるし」
「うーん・・・・・・。そうだな。じゃ、頼むぞ」
「うん」
春樹はすぐに机にに伏せた。それからすぐ、春樹の寝息が聞こえはじめた。
・・・・・・春樹の寝顔も可愛い・・・・・・。
こちらに顔を向けて寝ている春樹を見ると、そう思ってしまう。
昔から見慣れている寝顔であったとしてもだ。
智と春樹の関係は一般的に、幼馴染と呼ぶことが出来るものだ。
誕生日が一緒で親同士も仲が良く、クラスは小学校の時からずっと一緒で、離れた事が無い。そんな関係なのだ。
「もしかして・・・・・・」
智は、春樹の言葉を思い出してみる。「疲れた」と言った春樹の表情が、昨日の拓斗のそれと何か似ているような気がしたのだ。
「後で聞こ・・・・・・」
智はその後も、予鈴のチャイムが鳴り担任の先生が来るまで、春樹の寝顔を見続けていた。




