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第一話:入学式

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第一話:入学式


「そういえばさ」

「ん?」


体育館に向かう途中に洸が秀貴に聞いてきた。


「さっき貰ったこの封筒って何だろう?」

「さぁな。入学式が終われば分かるだろ」


二人の手には校門で別れた時に麦田から貰った茶封筒が握られていた。麦田曰く


「指示があるまで開けないで下さい」


との事だ。おそらく入学式、ないしはその後のホームルームで指示が出るだろうと結論づけて二人は体育館に入った。体育館には既に黒山の人だかりがいて皆各々の席に着いて式が始まるのを待っていた。


「さて、何処にするか」

「これだけ人がいると空いてる席探す方が難しいね」

二人が空いている席を探していると


『お、やっと来たな。お前らこっちだこっち!』

「ん?あ、タツキ達だ」

「何?ホントだ」


二人を呼ぶ声がしたので、明がそちらの方を向くと、二人の知り合いが座っていた。


「よ、タツキ。早いな」

「馬鹿かお前は。お前らが遅いんだよ」


秀貴と軽く言い合ったのはこれまた秀貴とは小学校からの友人の『設楽達城(したらたつき)』だった。


「君達も相変わらずだね」

「まったくだ。お陰でこっちは楽しみに事困らないけど」

「あ、ヒデにマサもいたのか」


達城と秀貴の会話(口喧嘩)に参入してきたのはまたしても小学校からの友人だった。

先に割って入った『ヒデ』と呼ばれた方が『柴田英光(しばたひでみつ)』で、英光に同意するように続いた『マサ』と呼ばれた方は『北条正宗(ほうじょうまさむね)』だ。


「柴田君たちだけじゃないですよ?」

「私たちもいるわよ」

「何だ、お前らもいたのか」


秀勝と家康に続くように話し掛けてきたのは『橘八千代(たちばなやちよ)』と『五木緋奈(いつきひな)』。もう分かってるいるとは思うが、この二人も秀貴達の友人だ。つまり此処に幼なじみ7人がいることになる。


「まったく。どうせまた夜中までゲームやら読書やらしてたんだろ」

「ダメですよ。夜はちゃんと寝ないと」

「う゛。いや中々セーブポイントが見つからなくて」

「嘘ね。あんたの事だから、どうせ『次のとこまで』とか言ってたんでしょ」

「……よく分かったね」

「そりゃあ洸だしな」

「秀貴こそ、同じ様な理由で結局一冊読んだんじゃない?」

「ふっ、甘いなヒデ。五冊だ」

「威張るなよ」


など雑談に花を咲かせていると、


『間もなく入学式を開式します。新入生並びに来賓の方々は御着席下さい』


「お、始まるな。ほら、こことってやったんだから早く座れ」

「悪いな」

「ありがとう」


秀貴と洸は達城達がとってくれていた席に座った。並びは通路側から秀貴、洸、達城、英光、正宗、八千代、緋奈の順だ。


二人が席に着くと、程なくして入学式が始まった。


『では、これより第○回戦場学園入学式を開式します。まずは学園長から新入生の皆さんへの挨拶です。学園長、お願いします』


アナウンスの声に促されステージに設置されたマイクの前に一人の女性が立った。年のころは還暦いくかいかないかくらいか。人生の酸いも甘いも知り尽くしたような貫禄がある。さぞ立派な人だろうと大多数の新入生とその保護者は思った。


「コホン。えーまずは入学おめでとう。クソガキども。私がこの学園の責任者の丹波竜胆(たんばりんどう)だよ」


が、その思いは一瞬にして砕けちった。そりゃいきなり新入生をクソガキ呼ばわりする輩を立派だと思うことに無理がある。案の定と言うべきか、学園長の発した一言で体育館中が凍りついた。ただ秀貴の周辺は別だが。


「堅苦しい挨拶はなしにして、私がいいたいのは此処で快適に過ごしたかったら必死になって勉強しな。なんせ此処は、文字通り『戦場』だからね」


以上と言うと学園長は壇上から下りて自分の椅子に座った。


『え、えーでは続きまして−−』


司会の先生が式を続けるが殆どの新入生とその保護者はそれどころではなかった。何せ学園長ともあろう人があんな意味深な事を言ったのだからその真意が気になって仕方がないからだ。事実隣同士で喋り合っていてとても一般的な入学式の雰囲気とはいかなかった。ただやはりと言うべきか、秀貴のグループだけはシンと静まり返っていた。寧ろ彼らの瞳の奥にはある種の決意が漲っていた。彼らの眼はこう語っていた『上等!』と。


学園長のとんでも発言以外は特に問題なく式は滞りなく進み閉式となった。閉式の挨拶終了後、司会の先生が新入生に向かって


『それでは最後に、新入生の皆さん。校門で配られた封筒を開封して下さい』


と告げた。告げられた時にまた少しざわついたが今度は大半の生徒が予期していたらしくそれ程騒ぎにはならなかった。秀貴も周りと同様に封筒を開けてみると、中から『陸』と一文字だけ書かれた紙が出てきた。


『中に漢数字の壱から陸までのいずれかが書かれた紙が入っているはずです。それが皆さんが今年一年を過ごすクラスの組となります。もし入っていない場合がありましたら直ぐに近くの教員に申し出て下さい』


「秀貴は何て書いてあった?」


洸が聞いてきたので秀貴は自分の紙を明に見せた。


「陸か。僕もだよ。で、これって何組?」


ほら、と洸も同じように紙を見せてきた。確かに一文字だけ陸と書かれていた。ただ洸は自分が何組か分からなかったようだ


「ロクだよ。他の奴らは?」

「どうやら俺達全員陸組みたいだな」


秀貴の問いに達城が答え自分の紙を見せてきた。そこには秀貴と同様に陸の文字があり、他のメンバーも同じだった。


「何だ皆同じかぁ」

「当たり前だ。そうなるように計算したんだからな」

「まぁな。洸が受かった時点でこうなることは予想済みだ」


どうやら彼らは示し合わせてこの学園に来たようだ。しかも学園の方針をを理解し上でた全員同じ組になるように。どうやったのかが大いに気になるところだ。


『全員確認は終わりましたか?ではこれからクラスへと移動してもらいます。ステージの前にプラカードを持った教員がいるので、自分の番号のプラカードの教員の引率に従って移動して下さい』


秀貴達もアナウンスに従い陸のプラカードにやって来た。プラカードを持っていたのは校門で封筒を配っていた麦田だった。


「おや、またお会いしましたね」

「麦田先生、こうなること分かってただろ?」

「ふふふ。何のことですかな?」


麦田は穏やかに笑うと秀貴の皮肉を軽く流した。


「……まあいいや。俺も何かそんな気してたし」

「それは何より。これで全員ですか?では出発しますので遅れないようについて来て下さい」


秀貴達を筆頭にEクラスとなった生徒達が麦田の後について移動した。麦田は体育館の入口に移動すると


「では皆さん靴に履き変えて下さい」


麦田の指示に全員が疑問を抱いたが特に問い質す事もなく素直に従った。


「何処に行くんだろ?」

「さあな。今は取り敢えずついて行けばいいさ」


暫く歩くと、昭和の時代からあるような木造の校舎が見えてきた。すると麦田は秀貴達の方を向き


「ようこそ。我等が陸組の学舎、通称『陸でなしの館』に」


と大仰に両腕を開いて宣った。

次回はキャラの紹介にするか話を進めるか迷っていますが頑張って書くのでよろしくお願いします。

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