強面と野獣と昼下がり
毎日の日課であるお昼寝をしようとしたら、前にやってきた騎士さまが、がさがさ草をかき分けやってきた。
「あー、どうもこんにちはー」
「…あぁ。元気そうだな。」
いつものごとく、騎士さまは野獣に近づき頭を撫でてくる。
(んー、きもち…ねむくなってきた……)
数秒もせずに野獣は騎士に撫でられたまま寝てしまった。
(まったく…無防備きわまりないな。これでよく今まで殺されなかったな)
騎士はすぴすぴと眠る野獣をみてため息をつく。
一方、野獣はすでに夢のなかであった。
――――あの昼寝の後、日が傾きかけ、少し肌寒いと感じ隣にある毛布の様なものに寄り添って、はっとし目を覚ました。
図体だけは仲間内では飛び抜けている俺をすっぽり包むようにクリーム色をしたもさもさとした何かがいた。
当然俺は野獣だと思い、剣先をそいつのまたもふもふした首に向けたのだが……
「あ、起きましたかー。おはようございますー。」
なんて、おっきな口を牙をキラキラさせながらあくびして。
思わず肩の力が抜けたのは仕方ないことだったとおもう。
(こんなのが野獣と名乗っていいのか……?)
俺はその場で立ち尽くして思わずツッコミをいれてしまった。