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DARK SCENE  作者: 鵫弥
Same
15/19

『 Same 』part.1








―――もうどれくらい走っているだろう。




息が切れてきた。




今...何処へ向かっているのか。



...自分でも分からない。




このまま俺は何処へ向かうのか。



何から逃げているのか。



今はそれを知ってしまうのが怖い。




何もかもを忘れ去るように走っても...



この鼓動が脈打つ度に、その恐れを確かなものにさせてしまう。



必死に走れば走るほど追い詰められていく。



それでも今は....






落ち着いて立ち止まってはいられなかった。






「.....!」




走り続け、目の前に見えてきたのは階段。



川沿いの堤防へと続く大きなコンクリートのその階段を前にして、足を止めてしまう。



今は、躊躇わずそこを駆け上がるしかない。



荒れる息を整えながら夢中で階段を上った。




...ふと見えた、空の色。



雲行きの怪しい灰色の空。




....俺は何処へ向かっているんだろう。




曖昧な空の色を見て思う。



それでも足は止まらない。



今頭の中を支配しているものは、なんだ。




「....!......はぁ.....はぁ.......ッ!......」




なんなんだ...?






「.......くっ....!!......」




階段を上り終える時、不意に躓きそうになる。



体制を立て直し、また走る。




目の前の橋へと向かいながら。





「.......!?...」



頬に冷たい感触。




雨だった。




色の無いようなあの空から、今にも零れ出しそうだったそれが静かに降ってきた。




一粒、一粒と。地に染みていく。



段々と増えていくその染みは次第に雨音を生んでいく。




「......」



歩を進めたまま空を見上げている。



...静かに降り始めたこの雨に、なにかを問い掛けられているような気がしてならない。



そしてその何かが分からない。



繰り返し続ける自問自答より曖昧な問い掛けを....冷たく鳴るこの雨音にされているような気がして。




「........」




それはとても、曖昧なものかもしれないけれど...




その答えは分っているのかも知れない。





「.....ここは」




足を止める。



瞳に映るその場所を眺めた。




薄暗く映える川辺――――。



雨に濡れ始めた、記憶から消えない其処を。





「......どうしてここに...」




来てしまったんだろう。




まだ消えることの無い記憶。



あの罪はこの場所で生まれた。





消えない、消せない、罪。





忘れることなんて出来ない。





.....由沙...






「...やめろっ.....」




脳裏によぎる思いを振り払う。




それはどうしてだろう。




......。





あんなに....想っていたのに。




どうして...。





....怖いから?






「....!...?」





後ろを振り返る。



何か気配のようなものを感じたが誰もいない。




....何も恐れてなんていない。




見上げると、薄暗い雲に覆われた空。



冷たい雨が皮膚を打つ。




変わらず、ずっと何かを問い掛けられている。



その答えを求められている。




追い詰められた、か細い心が持っている、確かな答え。



ここで....この場所で.....




「.....」





飛ぶか、飛ばないか。






「......もう....終わりに....」






死ぬか、死なないか。






「......終わりにしよう」






濡れた橋の欄干に手をかける。




ゆっくりと足をかけ、身を乗り出す。




「...っ......」




地面が見える。



ここからどれ程の高さがあるのだろう。




薄暗く見える地面は遠い。



身を投げた自分がどうなるのかも分らない。




視線を下から逸らし、周囲を見渡す。




.....誰もいない。




今は誰もいない。




飛んでしまうなら....今しかない。



「......っ」




意を決して欄干の外側へ乗り出る。



手と足だけ体を支える。




先程までより強く降る雨。



時折、強く風も吹く。




「....!...」



車通りのなかった橋の車道に車が二、三台と通り過ぎる。



辺りは薄暗いけれど....もう悠長にはしていられない。




早く....ここから....




飛んで...





「終わろう」







―――――!!







...瞼を閉じて息を呑む。




視界を暗闇で覆うと同時に、両手を手摺りから離した。




重力に奪われる身体。





鳴り響いていた雨の音が、その瞬間に途切れる。






開くつもりのなかった瞼を、小さく開く。









...輝く星と、月明かりに照らされた水面。




涼しげな夜の風が吹き、隣を誰かが歩いている。



君は...誰....





(......そうか....)




.....。





(やっぱり....)






――――由沙。








君は...










本当に











「ここにいたんだね」









....






....?








......!?









手が







―――――熱い









これは.....








.....体温...?






....?







(.....ん....なに...)





(.....今....何時だと思ってんの...)






(ん......分かったよ...じゃあ後で)







(.....あ、ちょっとまって...)










外...寒いかな?







「はっ......!」








今にも千切れるかのような左腕への刺激。




宙へ放たれたかと思った、この身体は。




自らの腕の先....その細い手によって掴まれていた。





「.....な.....っ......っ!!」





何が起きているんだろう。





理解できない。







「.....君か.....」





.....人...?



俺は死んだのか...?





これは.....







「やっぱり....似ている.....」





....死神か...?





俺は今....どこにいる....








ここは....





「......くろ...」




「...!?....」




「.......君...」




「.....!?」





俺はやはり死んだのだろうか...?




腕を掴んでいるのは....死神なのだろうか...




....ローブのようなものを被っている。



顔がよく見えない。




俺はこのまま....









「君を悪いようにはしない」



「....?」





突然、強い刺激が左腕に走る。




体は強い力で、一気に引き上げられる。




「うわっ......!」




「...さあ....こっちだ....!」




この手を掴んだ者の方へ、体は引き上げられた。




反射的に右手で手摺りを掴み、俺は橋の上へと転げ落ちた。




「っ.....!!」




「はは....これでどうにか.....はぁ...」




息を荒くして俺はそのまま橋の上に倒れこむ。



汗と雨が入り混じって肌を流れる。




「...はぁ....はぁ.....っ....っく.......はっ....!」




左腕は、まだ痛んでいる。




俺は倒れ込んだまま...手の平を眺めた。




....俺は.....まだ生きてる....?




....いや





「...君......黒乃君だよね...?ほら...」





俺は...生かされた。








「...手、大丈夫?」





声の主は、こちらへ手を差し伸べる。




俺は.....その手を.....






「...だからー.....悪いようにはしないって!」





もう一度....





「ほら、立って...!....黒乃君」







掴んでいいのだろうか....?








もう一度










「......な....」




「ふふ.......大丈夫だよ.....」






薄っすらと見えるその表情は...どこか優しくて。






「僕も君と”同じ”人間だから」

























   to be continued...

















....また...書きました。



新章、第三章......



よろしくお願いいたします。。。。。。





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