紅葉に染まる愛
慣れない恋愛ものなんでいまいちかもしれませんが・・・
一葉「かーずくん♪」
ポンと背中を叩く
和志「っと~、なんだ一葉か」
一葉「なんだとは何よ~、もぉ」
和志「悪い悪い、でどした?」
一葉「いや、見つけたから・・・ね」
和志「何だよそれ、まぁいいや、暇だしどっか行くか?」
一葉「うん、じゃあいつものとこで」
和志「お前あそこ好きだな~」
一葉「いいじゃん、早く行こ♪」
私(一葉)とかずくん(和志)は幼い頃からのお友達・・・まぁいわば幼馴染
失いたくない、大切な・・・とても大切なお友達
いつも一緒で、昔は一緒にいない日なんてなかったくらい遊んでた
でも年をとって家を継がなくちゃいけなくなって会える日が少なくなった
でも暇があれば今日みたいに一緒にいる
行く場所はいつも同じ
春は大きな桜の樹の下
夏は海辺
秋は紅葉のたくさんある池
冬はかずくんの家や私の家の中
これは今も昔も変わらない
今は秋だから紅葉のたくさんある池
そこでは樹にもたれて座ってるだけ
たまに話をするけど、黙ってることもしばしば・・・
かずくんはわかんないけど、私は黙ってても平気、一緒にいるだけて楽しい
こんなほのぼのとした日常が続けばいいと、思ってた
けど、そんな願いは粉々になるように砕け、崩れていった
世界規模の大戦の勃発、私たちのいる小さな村の男性も兵として出るよう言われた
無論かずくんも・・・
一葉「かずくん!」
兵として出て行こうとしていたかずくんを見つけ、つい声をかけてしまった
和志「一葉・・・」
お互い何を言えばいいか分からずに黙っていた
一葉「もう、出て行くの?」
少し時間を置いて言った
和志「あぁ、今すぐてわけじゃないけど、でも今日中に出ないといけないみたい」
一葉「そっか、てことは少しは時間あるの?」
和志「うん」
一葉「それじゃあ・・さぁ、いつもの場所、行かない?」
和志「・・・うん、いいよ」
一葉「・・・・・・・」
和志「・・・・・・・」
何でだろ、言いたいことがあったはずなのに言えない・・・
和志「・・・なぁ、一葉」
一葉「え、何?」
沈黙に耐えられなかったのかかずくんが口を開けた
和志「いまさらだけどさ、一葉ってどんな男が好み?」
一葉「・・・へ?」
あまりにも意外な質問に変な声がでちゃった
一葉「えっと・・・どうして?」
和志「いや、何だか急に気になってさ」
一葉「ふ、ふ~ん・・・」
・・・今日のかずくん、何だかいつもと違う・・・って、徴兵として行く前だし、仕方ないよね
一葉「えっと・・・やさしくて頼りがいがあって料理が上手で・・・」
和志「・・・ようするに俺とは真逆ってことか」
一葉「ん~・・・そうなるかもね」
和志「そっか」
かずくんが残念そうな顔してる、いったいどういう・・・
和志「んじゃ、そろそろ行くわ」
一葉「えっ!、もう?」
和志「うん、悪いな」
一葉「そっか・・・」
和志「じゃあ・・・」
和志が一葉に背を向けて歩き出そうとしていた
一葉「待って、かずくん」
和志「?、何だ?」
わたしは髪を括ってた紐を外し、かずくんの手首に巻いた
和志「・・・・・」
一葉「えっと・・・できればでいいんだけど、もしもうダメかもって思ったらこれ見て勇気付けにでもって思ったんだけど・・・」
和志「・・・ありがとな一葉、肌身離さず着けておくよ」
かずくんが喜んでくれてる、よかった・・・
一葉「それじゃあ・・・またね」
和志「・・・さよならじゃなくまたね、か」
一葉「うん、・・・必ず戻ってきてね」
和志「可能性の低いことを願っても意味ないぞ」
一葉「うん、わかってる、けど・・・またね」
和志「・・・あぁ、またな」
そう言いながらかずくんは私の頭を撫でて行った
かずくんが兵として出ていって数年、わたしたちの国の敗退が知らされた
けど植民地にはならずにすんだのこと
出ていた兵は無残な姿で見つかった人ばかりとの噂
中には爆撃により跡形もない人もいたらしい
亡くなった人のなかにかずくんの名前がなかった
よかった、生きてると私は喜んだ
でも1年経っても2年経ってもかずくんは帰ってこなかった
私は嫌なことばかり考えてしまう
敵に捕らわれ、そこで殺されたのかもしれないと
3年経っても、かずくんは帰ってこない
かずくんのご両親はもうかずくんは死んだのだろうと勝手に決めつけ遺骨のないお墓を作る
かずくんが一番好きだった紅葉のたくさんある池の近く
私はこの日からあの場所には行ってない
今もかずくんは生きてると信じてるから
でもそれから2年が経ち計5年、かずくんは帰らない
いくら私でもかずくんが死んだのだろうと思う
涙が零れた、そして私の本当の気持ちがわかった
私、かずくんのこと好きだったんだ
私はとっさにかずくんのお墓に向かった
そこで私は泣き崩れた
一葉「かずくん・・・私、かずくんのこと好きだったみたい、かずくんは?」
・・・・・返事がない、当たり前だ、かずくんはもういない
かずくんの気持ち、聞いとけばよかったな・・・
それから私は毎日かずくんのお墓に通った
雨が降れば傘と服が濡れないように敷物を、雪が降れば分厚い羽織る者を持って一日中
それから1年、いつものようにかずくんのお墓に向かった
でも今日はかずくんのお墓に誰かいる
なんだか見覚えのある、けど思い出せない
一瞬かずくんかなと思ったけど、6年も音信不通なんだから違うと思った
かずくんの知り合いかなと思いながら私は近づいていった、すると・・・
?「・・・ったく、ちょっと連絡できなかっただけで俺死人扱いかよ」
・・・えっ?
今なんて・・・
パキッ、きっと小枝か何か踏んだんだろう、その音でお墓の前の人がこちらを向いた
?「・・・一葉か?」
一葉「・・・かず・・・くん?」
和志「あぁ、久しぶり、一葉」
・・・嬉しさがこみ上げてくると同時に涙が出てきた
一葉「かずくん、かずくん!」
私は駆け寄って思いっきり抱きついた
一葉「かずくん、かずくん」
和志「ごめんな一葉、心配掛けて」
一葉「よかった・・・」
しばらく私はかずくんの胸の中で泣いた、もちろんうれし泣き
一葉「で?」
和志「ん?」
一葉「ん?、じゃないよ!、どうして連絡一つもくれなかったの?、しかも6年も」
和志「実はさ、空撃機で敵地に向かってたら迎撃されて海に墜落したんだ、そこから半年漂流して・・・多分気絶したんだろうな、気がついたらどっかの島に流れ着いたみたいで、運良くその島が少数民族の島でさ、そこでそこの人たちに助けられていろいろ恩返ししてたらこんなにかかっちゃってさ」
一葉「ふ~ん、そっか・・・で恩返しに必死で連絡ないで、ふ~ん」
なんか許したいのに許せない・・・
和志「だから悪かったって」
一葉「言葉ではいくらでも謝れるけど、形で示してくれないと・・・」
意地悪げに言ってみた
和志「ん~、形にか~・・・」
しばらく考えてかずくんが答えをだした
和志「よし!、じゃあ・・・一葉」
一葉「・・・な、何?」
なんだか改まった感じで呼んできて一瞬ドキってしちゃった
和志「俺の一葉への形ある謝罪は・・・」
かずくんは一呼吸おいて
和志「お前を、一葉を一生掛けて幸せにしてやる」
一葉「えっ・・・それって・・・・・」
和志「多分一葉の考えてる通りだと思う」
一葉「えっと、その・・・」
和志「一葉、生涯、これから先ずっと俺のそばにいてくれないか?」
一葉「えっと・・・つまりそれって・・・告・・・白?」
和志「まぁ・・・そうだな」
一葉「・・・・・・」
あまりにも唐突のことで一瞬声が出なかった
一葉「えっと・・・その・・・・あぅ~・・・」
ダメ~、まともにかずくんの顔見れない~
和志「まぁ今すぐに答えださなくてもいいから、一葉の本当の気持ちが言えるときになったら言ってくれ」
そういって和志が立ち上がろうとしていた
一葉「待って!かずくん」
和志「?、どうした」
一葉「えっと・・・さっきのかずくんの言ってくれたことについてなんだけど・・・」
和志「うん」
一葉「えっと・・・・私なんかでいいの?」
和志「一葉以外考えられないって思ってる」
一葉「私も・・・かずくんじゃないと・・・ダメ」
そう言って私はかずくんに近づき永遠の愛を誓う約束を交わした・・・・・