第95話
「準決勝・第1試合――!」
実況の声に、リングへと歩み出る二組のペア。
ラビィとドラキュ。
そして、アースとカイザー。
リング中央で向かい合い、アースが一礼する。
「ラビィさん、よろしくお願いします」
ラビィは少しだけ目を細め、柔らかく笑った。
「アースくん、こっちこそよろしくね。でも――負けないよ!」
「準決勝第1試合……試合開始!」
両ペアはすぐには仕掛けず、リングをゆっくりと回りながら距離を測る。
視線、呼吸、わずかな体重移動。
互いに隙を探る静かな時間。
「早くやれー!」
会場からのヤジが飛んだ、その瞬間。
ラビィとアースが同時に前へ出た。
リング中央で激突する両者。
拳と拳がぶつかり、衝撃音が響く。
ドラキュがラビィを援護すべく前へ出る。
邪魔はさせないとカイザーが翼を広げ、ドラキュの方へと舞い上がった。
ラビィ対アース。
ドラキュ対カイザー。
二つの戦いが同時に始まる。
邪魔だと言わんとするかの様なドラキュのブレス。
カイザーは身を翻してこれを躱し、さらに上空へ。
「キュッ!?」
そこから一気に急降下。
「キィーー!」
鋭い一撃がドラキュを襲う。
ドラキュは間一髪でかわし、地を蹴って距離を取った。
「一瞬で終わらせる」
ラビィの声と共に、黒い気配が迸る。
放たれる闇兎。
ガキン――!
鋭い金属音。
アースがその一撃を、剣で受け止めていた。
「ラビィさん。奥の手は、ちゃんと隙を見つけてからじゃないと喰らいませんよ」
ラビィは一瞬だけ目を見開き、すぐに口角を上げる。
「やるね……アースくん……」
一瞬の攻防。
だが、その密度に会場がどよめく。
「カイザー、戻って!」
アースの声に応え、カイザーが旋回する。
アースは剣を天へと掲げた。
カイザーがくるりと剣に絡むように回転すると、刃が炎を纏う。
「行きますよ、ラビィさん!」
ラビィへ向かいアースが踏み出す。
ドラキュがブレスで迎え撃つが、アースはそれをかわし、なおも前へ進みラビィへと切りかかる。
が……そこに、ラビィの姿はなかった。
闇の中から、声が響く。
「……闇兎」
次の瞬間。
アースの身体が、闇の斬撃と共に上下真っ二つに裂け、消失した。
静寂。
「ふぅ……危なかった……」
ラビィは小さく息を吐く。
「アースくん、めちゃくちゃ強くなったね」
転送エリアに現れたアースは、悔しそうに笑った。
「……まだ、追いつけなかったか」
その表情は、悔恨よりも清々しさが勝っていた。
あまりに一瞬の決着。
呆然としていた実況が、我に返ったように声を張り上げる。
「勝者――ラビィ&ドラキュ!」
歓声が爆発する。
ラビィは観客席へ向け、軽くVサインを掲げた。
準決勝第1試合、決着。
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