表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/150

第86話

ヴラドとコロンブスは、ウルとロウを相手に必死の応戦を続けていた。

二体の獣は互いに位置を入れ替えながら間合いを詰め、牙と爪で休む間もなく襲いかかってくる。


「嬢ちゃん、悪ぃ! この犬っころ達の相手で精一杯だ!」


コロンブスが叫ぶ。その声の裏で、ラビィとリーもまた苦戦を強いられていた。

オウの滑空からの急襲は速く、鋭く、まだ慣れない二人に容赦なく襲いかかる。

回避するのが精一杯で、ユイの元へ踏み込む余裕がない。


その一瞬を、ユイは見逃さなかった。

戦場全体を冷静に見渡し、

ウルとロウが前に出たわずかな死角。

そこへ迷いなく攻撃を放つ。


「危ないヴラド!」


コロンブスが叫び、同時に身体を投げ出した。

衝撃。

視界を覆う光。

そして次の瞬間、そこにコロンブスの姿はなかった。


「コロンブスーッ!!」


ヴラドの叫びが戦場に響く。

返事はない。

ただ転送エリアへ送られた痕跡だけが残っていた。


その瞬間、ヴラドの表情が変わった。

怒りでも悲しみでもない、静かな覚悟。防御を捨て、剣を構え直す。


ウルとロウが同時に飛びかかる。牙がヴラドの身体に深く食い込み、血飛沫が舞う。


だがヴラドは、ニヤリと笑った。


次の瞬間、ヴラドの身体は光に包まれ、消失した。


――しかし。


ヴラドが消えたその場に残されたウルとロウの身体には、深々と剣が突き立てられていた。二体は短く呻き、そのまま光に包まれ、転送エリアへと消えていく。


戦場には一瞬の静寂が落ちた。


次の瞬間、その静寂を切り裂くようにオウが大きく翼を広げ、上空へと舞い上がる。

ラビィやリーの間合いを完全に外した高度だ。

鋭い滑空。

風を裂き、地面すれすれをかすめるようにして襲いかかり、再び空へと戻る。


それを何度も繰り返す。


「っ……!」


避けるたびに、ラビィとリーは少しずつリングの隅へと追いやられていく。

逃げ場は確実に狭まっていた。


その時、リーの目が一瞬鋭く光った。


「なるほど……」


リーはラビィの耳元へ身を寄せ、短く何かを囁く。

ラビィは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに力強く頷いた。


上空のオウが吠えるように鳴く。

次で終わらせる。

決意の様な眼光を携え上空へと舞う。


さらに高く、高く舞い上がる。

その影が小さくなるほどの高度。


その瞬間だった。


「フンッ!」


リーが渾身の力を込めて地を蹴る。信じられない跳躍。

だが、それでもオウには届かない。


「兎の跳躍!」


後を追うようにラビィが跳ぶ。

だが、まだ足りない。


空中で、ラビィはリーの背中に着地した。


一瞬の静止。


「これで終わりだよ、オウ! 兎の跳躍――!」


ラビィがリーの背中を強く蹴る。

その反動でリーの身体は場外へと落ちていく。

だがラビィは振り返らない。


「ありがとう……リーさん。トドメだー!」


ラビィの身体はさらに高く、一直線にオウへと向かう。


「クキャー!」


断末魔と共に、オウの姿は空中で消失した。


ラビィはそのまま地面へと着地する。


視線の先には、ただ一人残ったユイ。


「ユイちゃん、最後だよ!」

ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!


更新日時は毎日致します。

平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話

土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話

で行います。


少しでも

面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!

感想などもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ