第83話
クロノス・レガリア一周年を、明日に控えた日。
ギルドのカウンター前で、ラビィはクエスト完了報酬を受け取っていた。
ウィンドウが閉じると同時に、背後から聞き慣れた声がかかる。
「ラビィさん!」
振り返ると、そこには満面の笑みのアースが立っていた。
「明日、楽しみですね! 僕もメンバーたちも、気合い入ってますから!」
「うん、私も楽しみだよ」
そのやり取りを遮るように、ギルドの入口がざわついた。
「そいつは聞き捨てならないな、アース」
低く響く声。
振り向いた瞬間、虎徹に跨った佐助の姿が目に入る。
「さ、佐助さん!」
次の瞬間、虎徹がぐっと身を屈め、
アースの顔を――
「べろっ」
「うわっぷ!?」
勢いよく舐められ、アースはよろめいた。
「ちょ、ちょっと虎徹!?」
佐助は肩をすくめる。
「歓迎の挨拶だろ?」
ラビィは思わず吹き出した。
「ふふ……相変わらずだね」
「でもよ」
佐助がラビィを見る。
「明日は本気でやろうぜ。せっかくの大会だ」
「うん。楽しみだよ」
ラビィは頷く。
「みんなと、初めて本気で闘えるかもしれないからね」
「だな」
佐助はにやりと笑った。
「手、抜くなよ。ラビィ」
「それはこっちの台詞だよ」
夜。
自室の窓辺に立ち、ラビィは夜空を見上げていた。
瞬く星々が、静かに瞬いている。
「……みんな、強くなったよね」
アースも、佐助も、ユイも、ヒロも。
そして、ドラキュたちも。
「でも……」
ラビィは小さく拳を握る。
「私たちも、ちゃんと強くなってる」
胸の奥に、わくわくとした高鳴りが広がる。
「早く……明日にならないかな」
その言葉に応えるように、端末の表示が静かに切り替わる。
《クロノス・レガリア サービス開始一周年》
当日を告げる文字が、確かにそこにあった。
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