第81話
古びた教会を後にし、一行は夜の街路を歩いていた。
戦いの余韻はまだ身体に残っているが、足取りはどこか軽い。
やがて、街の中央広場前。
噴水の水音と、変わらぬ賑わいが、ようやく日常へと戻ったことを教えてくれる。
「ラビィさん! 本当に……良かったですね!」
アースが少し照れたように笑い、深く頭を下げる。
「また何かあったら、すぐ駆け付けるぜ」
佐助は軽く手を振りながら、虎徹に視線を向けた。
「俺も……頑張るよ。みんなみたいに強くなる」
ヒロは拳を握り、真っ直ぐにそう言った。
「ラビィ、明日また学校でね! おやすみ!」
ユイはいつもの明るい声で手を振り、ルードたちと共に人混みへと消えていく。
それぞれが、それぞれの帰路へ。
やがて広場に残ったのは、ラビィたちとラストだけになった。
ラストは広場を見渡し、ふと懐かしむように言う。
「……ラビィさん。ここで初めて貴女を見つけた時、ここまで来ること……私は分かっていました」
「え……?」
ラビィが目を見開く。
「なーんて。嘘ですけどね! ハハハッ」
軽やかに笑い、踵を返すラスト。
だが、数歩進んだところで立ち止まり、振り返った。
「これからも、クロノス・レガリアを盛り上げてください。
貴女なら出来ます。……これは、嘘ではありません」
そう言い残し、ラストは夜の街へと消えていった。
――打倒MK集団は、確かに成った。
張り詰めていた糸が切れたように、ラビィはその場で仰向けに倒れ込む。
「ラビィちゃん!」
ジャンヌとコロンブスが慌てて支える。
その拍子に、ラビィの頬を伝っていたものが、地面へと落ちた。
「……孔明さん……半蔵さん……」
夜空を見上げ、震える声で呟く。
「見ててくれた? 私……強くなったでしょ……」
答えはない。
けれど、胸の奥には、確かな温もりが残っていた。
――そして、時は流れる。
ギルドの依頼ボードを見つめ、一人の青年が口角を上げた。
「また、ラビィのやつ……やりやがったみたいだな」
【クエスト:大型襲来イベント】
【クリア済み/達成者:ラビィ】
「よし……俺も気合い入れて行くか」
そう言って、白い虎に跨る。
虎は主を背に、ノシノシとギルドを後にした。
「みんな、次で仕留めるよ!」
ラビィの声がフィールドに響く。
「おう!」
「キュァー!」
仲間たちの声が重なり、再び物語は走り出す。
終わりではない。
これは、続いていく冒険の、確かな通過点だった。
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