第79話
異形と化したカリスは、その歪な体躯からは想像もつかない速度で迫ってきた。
「速っ……!」
ユイが息を呑む。
ラビィ、佐助も必死で食らいつくが、気を抜けば一瞬で置き去りにされる。
だが――
アースと、元MKの同級生ヒロにとっては、その速度はあまりにも過酷だった。
「くっ……!」
防御が間に合わない。
ラストは二人の前に立ち、攻撃を受け止めながら必死に庇う。
凄まじい攻防。
剣戟と衝撃音が地下に響き、全員の動きが次第に重くなっていく。
疲労。
蓄積していくダメージ。
やがて限界を迎え始めるプレイヤー達……
その隙を、カリスは見逃さなかった。
狙いを定めたのは、最も消耗しているアース。
「終わりだ!」
振り下ろされる一撃。
助けに向かおうとするが、距離が足りない。
アースは歯を食いしばる。
(迎え撃つしか……!)
その瞬間だった。
炎が、舞った。
「カッ、カイザー!?」
火の鳥の子が、全身に炎を纏い、カリスへと一直線に飛び立つ。
それに呼応するように――
虎徹が地を蹴り、鋭い爪を閃かせる。
ルードが大きく羽ばたき、上空から渾身の蹴撃を叩き込む。
そして。
「キュッ!」
眠っていたドラキュが目を開いた。
小さな身体から放たれた、確かなドラゴンブレス。
未熟ながらも、確実な意思を持った一撃。
一つ一つの攻撃は、決定打にはならない。
だが、カリスの動きを確実に削ぎ、攻撃を逸らしていく。
相棒たちは、必死だった。
主を守るために、ただそれだけのために。
「私たちも……あの子たちに負けてられないよ!」
ラビィの声が響く。
その言葉に、プレイヤーたちが奮い立つ。
重い身体を引きずりながら、それでも前へ。
そして――
「スキル……ラストダンス」
ラストが、舞った。
一瞬。
いや、刹那。
花弁が舞うような軌跡の中で、彼の身体がカリスの懐へと入り込む。
次の瞬間。
カリスの胸に、一本のバラが突き立っていた。
「……グハッ……」
崩れ落ちるカリスの身体が、淡い光に包まれていく。
「ふっ……楽しい……楽しいなぁ……」
かすれた声で笑う。
「なぁ、ラストよ……こんなに本気で戦えたのは……久しぶりだ……」
ラストは静かに頷いた。
「ええ……昔は、よく遊びましたね。
お互いが、本気でゲームを楽しんでいた」
そして、穏やかに告げる。
「……もう、満足でしょう。カリス……」
カリスは、最後にニヤリと笑った。
そのまま、光の中へと消えていく。
MK首謀者――
カリス、消失。
地下に残ったのは、静寂と、深い安堵だけだった。
ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!
更新日時は毎日致します。
平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話
土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話
で行います。
少しでも
面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!
感想などもお待ちしております。




