第78話
教会の外から聞こえていた怒号は、いつの間にか消え……
代わりに漂うのは、戦いの終わりを告げるような、重く静かな空気。
「外は無事、終わったみたいだね」
ラビィが小さく呟くとユイたちが頷いた。
外を固めていたメンバーたちが、MK集団を圧倒したのだろう。
「さあ、行きましょう」
ラストの短い言葉を合図に、一行は教会の奥へと進む。
女が最期に指し示した、地下へと続く階段。
石造りの段差を一歩、また一歩と降りていくたび、空気が変わっていく。
湿り気を帯び、冷たく、どこか淀んだ気配。
地下へ降り立ったその先――
そこには、ただ一人の男が立っていた。
「……カリス」
ラストが低く名を呼ぶ。
痩せた体躯。
だが、その瞳だけが異様に澄み切っており、底知れぬ執念を湛えていた。
「わざわざ来てくれたのか、ラスト。運営の番犬が」
嘲るような声。
ラストは一歩前に出る。
「いい加減に、このふざけた行為を止めろ」
「喚くな!」
カリスの声が、地下に反響した。
「俺がこのゲームを、お前達が望む様に面白くしてやっているんじゃないか!感謝して欲しい物だな」
説得は、最初から届いていなかった。
ラストは目を伏せ、静かに首を振る。
「ならば、これ以上の言葉は無意味だ」
その瞬間だった。
カリスが端末を操作する。
ドクン……ドクン……
空気が脈打つように揺れた。
「皆さん、下がって!」
ラストの叫びと同時に、一行は距離を取る。
カリスの身体が、不自然に震え始める。
皮膚の下を何かが這うように隆起し、骨格が軋む音が響く。
「こんな……こんなプログラムまで仕込んでいたのか……」
ラストの声には、怒りと、運営者としての戦慄が混じっていた。
やがて。
そこに立っていたのは、もはや人の形をした存在ではなかった。
歪んだ四肢、異様に膨れ上がった胴体。
人だった頃の面影は、かろうじて残る顔にしかない。
「さぁ……」
異形と化したカリスが、嗤う。
「存分に、楽しませやるよ!クロノス・レガリアの本当の楽しさをな!」
ラビィは、深く息を吸った。
肩に乗ったドラキュが、小さく鳴く。
「行くよ、みんな」
その声には、迷いは無かった。
孔明の意思を、
失われた仲間たちの覚悟を――
すべて背負って。
最終決戦が、今、始まろうとしていた。
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