第77話
石畳を踏みしめ、ラビィたちプレイヤー一行は静かに教会へと迫っていく。
夜霧に沈むその建物は、かつて祈りが捧げられていたとは思えぬほど、重く歪んだ気配を放っていた。
周囲には、既に配置についたメンバーたちが、教会を包囲するように闇の中で息を潜めていた。
ラストが無言で扉に手をかける。
重く軋む音と共に、教会の扉が開いた。
中にいたのは一人。
決起集会で前に立っていた、あの責任者の女だった。
「あら……」
女はゆっくりと口角を上げ、冷たい視線を向ける。
「ここにカリス様は、もう居ないわ」
静まり返った空間に、女の声が響く。
「あなた達が消えていくのを、私はただ見ているだけ。それだけよ」
そう言って、女はゆっくりと端末を取り出し画面を操作する。
次の瞬間……
ピロン。
ピロン、ピロン。
教会の外。
あちこちから重なって響く、端末の通知音。
「おい! こっちにメンバー居るぞ!」
「囲まれてる! 誰か来い!」
怒号と金属音
教会周囲を固めていたメンバーたちへ、MK集団が一斉に襲いかかっていた。
その様子を想像するかのように、女は高らかに笑う。
「さぁ……誰から消えていくのかしら。楽しみだわ」
だが。
時間が経っても、教会内で消えるプレイヤーは誰一人としていない。
外から聞こえてくるのは、次第に悲鳴じみた声ばかりだった。
ラビィが一歩、前へ出る。
「……あなた、私たちのメンバーを舐めてるんじゃないですか?」
女が怪訝そうに眉をひそめる。
「来ると分かってて、何の準備もせずに負けるわけないじゃないですか」
外では、完全に形勢が逆転していた。
聞こえてくるのは、MKたちの混乱と恐怖の声だけ。
ラストが、静かに告げる。
「観念しなさい。カリスの居場所を吐いてもらう」
女は舌打ちし、懐から小瓶を取り出すと床へ投げつけた。
パリンッ――!
瓶が割れ、黒い影が飛び散る。
飛び出た虫たちが、プレイヤーたちへと襲い迫る。
「ハハハッ!
なら貴女たちくらい、私が直接葬ってあげるわ! 行きなさい!」
「ラビィくんたち、今頃少しは驚いてくれてるかな」
ファーブルは静かに言った。
虫たちは、プレイヤーたちを避けるように動きを止めた。
「……え?」
女の声が震える。
「な、なんで……?
攻撃しなさい! しっかりしなさいよ!」
刹那。
闇が、跳ねた。
ラビィの身体が一閃し、女の懐へと踏み込む。
「スキル:闇兎……」
「……っ」
女は言葉にならない声を漏らし、その場に崩れ落ちた。
「……なん……で……」
ラビィの腕に倒れ込みながら、女は震える指で教会の奥を指さす。
「カリス様を……止め……て……」
その言葉を最後に、女の身体は光の粒子となり、消えていった。
教会の奥。
地下へと続く階段だけが、闇の中に口を開けている。
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