第75話
決行日。
ラビィの端末に、一通のメールが届いた。
差出人は――ラスト。
指定時間に、墓地フィールド内の教会へ。
首謀者が潜伏している可能性が高い。
周辺で合流し、詳細は現地にて。
短い文面だったが、そこに迷いは一切なかった。
ラビィは静かに端末を閉じる。
「……行こう」
その肩には、小さな重みがあった。
拠点で長く眠り続けていたドラキュ――竜の子は、いつの間にか一回り大きくなり、静かにラビィの肩に乗っている。
赤い瞳は閉じたまま。
だが、確かに“目覚めの時”が近いと告げているようだった。
ラビィ一行は、最後の戦いへと歩き出す。
指定時間。
墓地フィールド――夜霧に包まれた教会の手前に、ラビィたちは到着していた。
朽ちた石碑。
傾いた十字架。
風が吹くたび、どこかで軋む音が鳴る。
「……遅いですね」
誰かが呟いた、その時。
「お待たせしました」
背後から、聞き覚えのある声。
振り返ると、そこにラストが立っていた。
だが、彼は一人ではなかった。
その脇に、複数の人影が並んでいる。
「……え?」
ラビィは目を見開いた。
そこにいたのは――
佐助。
アース。
そしてユイ。
さらに、もう一人。
見慣れない、プレイヤー顔。
「どういう……?」
ラビィの問いに、ラストは小さく笑う。
「協力してくれそうなプレイヤーを、少しだけ調べさせて頂きました。
もちろん、強制ではありません。皆、自分の意思で来てくれています」
佐助の足元には、白い虎の子――虎徹。
アースの背後では、炎を宿す小さな鳥――カイザーが羽ばたいている。
そしてユイは、誇らしげに胸を張った。
「見て、ラビィちゃん。可愛いでしょ?」
彼女の隣には、小さな翼を持つ天馬――ペガサスがいた。
ユイも限定メンバーを手にし駆け付けてくれていた。
「ルードって言うんだよ!」
その声は、まるで遠足前のように明るい。
張り詰めていたラビィの胸が、少しだけ緩む。
そして。
ラビィの視線は、最後の一人へと向けられた。
「あ、君はてあ」
思い出す。
かつて、校内で聞いた話。
自分は、MKをしていた――そう語っていた、あの少年。
だが今、彼の隣にはきちんとメンバーがいた。
逃げも、歪みもない、真っ直ぐな立ち姿。
「大丈夫……今は、ちゃんとプレイしてる」
少年はそう言って、ニっとラビィを見た。
ラビィは、何も言わず、ただ頷いた。
全員が揃ったのを確認し、ラストは一歩前へ出る。
「それでは皆さん」
夜の墓地に、静かな声が響く。
「これより――
MK壊滅のための作戦をお話しします」
その言葉と共に、教会の扉が、きしりと音を立てた。
闇の奥で、何かが待っている。
――決戦は、すぐそこだった。
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