第71話
指導者の言葉を聞いた瞬間、孔明は悟った。
ここに長居してはならない。
「……十分だ」
孔明は静かに身を引こうとした。
だが――
教会の中で、その動きに呼応するかのように、責任者の女が顔を歪めた。
「……まさか」
自分もまた、尾行されていた。
その事実を、今さらのように理解した女は、教会の扉を乱暴に押し開け、外へと飛び出した。
夜の淡い明かりの下、二人の視線が交差する。
「いた……!」
女は叫び、孔明は即座に駆け出した。
だが、次の瞬間――
「逃がすかよ!」
前方から、捜索を終えて戻ってきた従者の男が二人、姿を現した。
背後には女。
前には従者二人。
孔明は一瞬で状況を把握する。
――袋小路。
従者の一人が、孔明を値踏みするように見つめ、口角を吊り上げた。
「おいおい……こいつ、プレイヤーじゃねぇぞ」
もう一人も気づき、嗤う。
「メンバーか。なるほどな……」
その頃――
ラビィたちは、従者たちが捜索を打ち切り、ある方向へ戻っていくのを確認していた。
「……おかしい」
ラビィの胸に、嫌な予感が走る。
「孔明さんが、そっちへ行ったんだ……」
一行は迷わず後を追った。
墓場フィールドへ足を踏み入れた頃。
時間差で、孔明は完全に包囲されていた。
その時――
「……やめろ……」
風に紛れ、微かな声がラビィの耳に届いた。
「今の……何か聞こえた」
ラビィは叫ぶように言い、走り出す。
他のメンバーも後に続いた。
声のする方へ。
闇の奥へ。
辿り着いた先で、ラビィたちが目にしたのは――
従者の男に両腕を押さえつけられ、地に跪かされている孔明の姿。
そして、その前に立つ責任者の女。
「……指導者様の命です」
冷たい声。
次の瞬間、女の手が振り下ろされた。
「孔明さん――!!」
ラビィの叫びが、墓場に響いた時には、
すでに遅かった。
孔明の身体は、淡い光に包まれていく……
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