第65話
自宅へ戻ったラビィは、校内で得た情報を整理し、ログイン後すぐにメンバーたちへと伝えた。
MK集団の存在、実行役の学生、報酬の仕組み、そして、決起集会と呼ばれる集まりの話。
一通り話し終えた時だった。
「嬢ちゃん」
コロンブスが腕を組み、少し照れたように、だがはっきりとした声で言った。
「俺はよ、正直こういう頭を使う話は得意じゃねぇ。前にも言ったが、今回ばかりは俺より孔明の旦那を連れていくべきだ」
「そんなことないよ。コロンブスさんは――」
ラビィが言いかけると、コロンブスは首を横に振った。
「違う違う。役に立たねぇって話じゃねぇんだ。
“適材適所”ってやつだ。今回、嬢ちゃんが危ない橋を渡るなら、横にいるのは俺じゃなくて、全部を読む男だ」
その言葉には迷いがなかった。
自分が前に出る場面ではないと、コロンブス自身が理解していた。
ラビィは少し黙り込み、やがて静かに頷いた。
「……分かりました。コロンブスさんの気持ち、ちゃんと受け取ります」
コロンブスはコクリと頷き親指を立てて微笑む。
一度ログアウトし、メインメンバーをコロンブスから孔明へと切り替える。
再ログインしたラビィの前に立っていたのは、見慣れたはずなのに、どこか空気の違う孔明だった。
「ラビィさん」
なぜ、自分が呼ばれたかを既に理解していた様に、扇を軽く閉じ孔明は真っ直ぐにこちらを見る。
「詳しく話を聞かせてください」
その表情は、仲間としての孔明ではなく
戦場に立つ軍師の顔だった。
ラビィは決起集会の場所、日時、合言葉、参加者の規模、そして校内で聞き出した情報を一つ残らず伝えた。
孔明は途中で一切口を挟まず、ただ静かに耳を傾けている。
すべてを話し終えた頃、孔明はふっと口元を緩めた。
「なるほど……」
そして、いつもの穏やかな笑みとは違う、どこか楽しげな笑みを浮かべる。
「辿り着けそうですね。
見えましたよ……首謀者へと続く道が」
その一言に、ラビィは小さく息をのんだ。
知の歯車が、確かに噛み合った音がした。
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