第63話
ファーブルをメインメンバーに据えた状態で、ラビィはログインした。
拠点に現れた見慣れない人物に、ジャンヌが小さく首を傾げ、コロンブスが腕を組む。
ヴラドは無言で一歩前に出て、その人物を静かに見据えていた。
「みんな、紹介するね」
ラビィは一息ついてから言った。
「新しいメインメンバー、ジャン・アンリ・ファーブルさん」
「やあ、こんにちは」
ファーブルは軽く手を振った。
「ぼくは虫と植物が好きでね。難しい話は苦手だから、分かりやすく話すよ」
その柔らかい口調に、場の空気がほんの少しだけ和らぐ。
ラビィは、これまでに起きたMKの事例、
植物メンバーによる油断、昆虫による毒、
そしてメンバー消失の仕組みと疑問点を、一つずつ説明していった。
話を聞き終えたファーブルは、少しだけ考える素振りを見せてから、ラビィに問いかけた。
「ねえ、ラビィくん」
「君は、何を消したいの?」
「え……?」
「植物というメンバー?」
「それとも、MKという行為をしている人たち?」
一同が息を呑む。
「植物を消失させるだけなら、正直に言うと簡単だよ」
ファーブルは指を一本立てた。
「切る、燃やす、枯らす。方法はいくらでもある」
次に、もう一本指を立てる。
「でもね、人の意思は違う」
「人が“やろう”と決めたことを、外から消すのはとても難しい」
「たとえば」
ファーブルは子供に話すような調子で続ける。
「植物メンバーを消して、プレイヤーを強制ログアウトさせたとする」
「でもその人が、また別の植物を連れて戻ってきたら?」
「同じことを、もう一度やるかもしれないよね」
ラビィは、はっと息を呑んだ。
「つまり」
「“手段”を消しても、“理由”が残っていたら意味がないんだ」
一行は、誰も反論できなかった。
「じゃあ……どうすれば……」
ラビィが尋ねる。
ファーブルは、あっさりと答えた。
「簡単だよ」
「おおもとを叩けばいい」
「……え?」
「MKという集団そのものを、解散させるんだ」
あまりにも真っ直ぐな答えに、全員が一瞬ぽかんとした。
「ただしね」
ファーブルはすぐに付け加える。
「力で叩くだけじゃだめだよ」
「“もうやらない”って、納得させなきゃいけない」
「そうじゃないと、名前を変えてまた同じことをする」
ファーブルは視線を巡らせる。
「そのために必要なのは、まず……」
「リーダーを見つけること」
「そして、その人に辿り着くための…」
「情報だ」
その言葉を聞いた瞬間、ラビィの脳裏に一つの光景が蘇った。
――学校で聞いた、あの言葉。
――「自分はMKだ」と、笑いながら言っていた誰か。
ラビィは、無意識のうちに拳を握りしめていた。
物語は、確実に次の段階へと進もうとしていた。
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