第61話
思いがけずファーブルと出会えたラビィは、内心の高鳴りを抑えながら、まずは無難なところから距離を縮めようとした。
「昆虫、お好きなんですね」
そう声をかけると、ファーブルの目が一瞬で輝いた。
「好き?いやいや、それでは足りないよ!」
そこからだった。
甲虫の習性、羽化の瞬間、蟻の社会構造
語り始めたファーブルは止まらず、身振り手振りを交えながら、少し前のめりで話し続ける。
ラビィは相槌を打ちながらも、次第に圧倒されていった。
「へ、へぇ……すごいですね……」
タジタジになるラビィとは対照的に、ファーブルはますます興奮気味だ。
一気に話し終えたところで、ようやく息を整えるように小さく肩を上下させた。
ちょうど会話が途切れた瞬間、ラビィは思い切って聞いてみた。
「じゃあ……植物のことも、詳しかったりします?」
その問いに、ファーブルは一拍置き、にやりと笑う。
「もちろんだとも!」
今度は植物の話が始まった。
芽吹きの条件、根の張り方、虫と植物の関係性。
またしても止まらない講義に、ラビィはただただ聞き入るしかなかった。
やがて満足したのか、ファーブルは立ち上がり、
「いやあ、楽しかったよ」
と晴れやかな顔で去ろうとする。
「ま、待ってください!」
慌ててラビィは声をかけた。
振り返るファーブルに、ラビィは少し息を整えてから続ける。
「その知識を……私のために貸してほしいんです」
そして、なぜ必要なのか、どんな世界で、どんな危険があるのかを順を追って話し始めた。
ファーブルはもう一度ベンチに腰を下ろし、腕を組んで静かに話を聞いた。
全てを聞き終えた後、彼はぱっと表情を明るくする。
「うん、すごく興味深い話だし……すごく面白そうだ!」
そして勢いよく立ち上がり、
「よし、行こう未来へ!」
と声を上げる。
「えっ?」
思わず声が出てしまうラビィ。
どうやらファーブルは自分が未来へ行くものだと勘違いしているらしい。
「い、いえ、行くのはデータだけで……」
そう説明すると、ファーブルは露骨に肩を落とした。
「えー……行きたかったのになー……未来」
ぶつぶつ言いながらも、最後はしぶしぶ頷く。
こうして無事にデータ抽出を終え、ラビィはファーブルに礼を言う。
「今度は連れて行ってね!未来へ」
ファーブルの言葉に苦笑いを浮かべるラビィ。
少し名残惜しそうに手を振るファーブルの姿を、ラビィはしっかりと目に焼き付けながら未来へと帰還する。
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