第56話
ヴラドの目の前で、確かにラストは消失した。
それは断言出来る。
剣は振るわれ、確実に急所を貫き、返り血さえ浴びていた。
それなのに……
部屋の中央に、何事もなかったかのようにラストは立っていた。
一行は言葉を失う。
理解が追いつかない。
現実が、音を立てて歪んでいく。
「簡単な話ですよ」
ラストは穏やかに微笑む。
「私は“プレイヤー”ですから」
その言葉に、孔明の瞳が見開かれた。
「まさか……プレイヤーは、消失の対象外……?」
「御明答」
ラストは小さく拍手をする。
「プレイヤーは何度消失しても、すぐにリスタート出来ます。でなければゲームとして破綻してしまいます。メンバーの消失とは、意味が違うのです」
ヴラドは歯を食いしばる。
ラストは続けた。
「ヴラドさん、私があなたを部屋の外へ誘いましたよね。あれはお願いです。私は“消失してみせた”だけ」
「そしてあなたは、私がもう戻って来ない存在だと……そう思い込みました」
部屋の空気が凍りつく。
誰も反論出来ない。
「あなたの中から、私という存在が消えた。その瞬間、私は再び現れる」
ラストは静かに、トドメを刺す仕草をしてみせる。
「……この様な手を使うMKも、実在します」
顔を青ざめさせるラビィだったが
ラビィの肩を、ラストは両手で掴んだ。
真正面から、逃げ場のない距離で。
「あなたは、この先このゲームにおいて、絶対に欠かせない存在になる」
低く、しかし確信に満ちた声だった。
ふっと手を離し、ラストは踵を返す。
「くれぐれも、お気をつけて。では、またお会いしましょう」
そう告げると、彼の姿は静かに消えた。
残された部屋に、重い沈黙が落ちる。
MKの存在理由。
メンバー消失の方法。
そして、ゲームルールの盲点。
叩きつけられた現実の重さに、誰一人として言葉を発することが出来なかった。
ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!
更新日時は毎日致します。
平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話
土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話
で行います。
少しでも
面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!
感想などもお待ちしております。




