第55話
二つの質問への答えを語り終え、ラストは静かに席を立った。
その動作だけで、室内の空気が変わる。
「ここまでで整理しましょう」
「一つ目。データ抽出は“同一種族”であれば問題ありません」
「二つ目。植物もまた、データ抽出の対象である」
ラストは一人ひとりの顔を見渡し、はっきりと言い切った。
「この二つのルールの盲点を使い、MKたちは行動している可能性が非常に高い」
一瞬の沈黙。
その中で、ラストはジャンヌへ視線を向けた。
「ジャンヌさん」
「もし、あなたの目の前でプレイヤーの方が倒れていたり、助けを求めていたら……どうなさいますか?」
ジャンヌは迷いなく答える。
「それは……駆け寄り、助けます」
言った直後、ジャンヌの表情が強張った。
ラストは静かに頷く。
「ええ。そこで……ジャンヌさんは消失します」
ラビィは思わずジャンヌを見つめた。
ラストは続ける。
「このように、メンバーの善意を利用し、プレイヤー自身が隙を作る」
「そして、近づいてきたメンバーに――」
ラストは空中で、静かに“トドメを刺す”仕草をしてみせた。
「これが、MKたちのメンバー消失方法に最も近い答えだと、私は考えています」
重たい沈黙が落ちる。
その中で、ラストはふいにヴラドへと視線を向けた。
「では、ヴラドさん」
「あなたは……私を消失させることは可能ですか?」
意味を理解できず、一行は困惑する。
ラストは小さく笑った。
「……出来ないようですね」
その瞬間、ヴラドは立ち上がり、剣の柄を強く握った。
ラビィが慌てて止めに入る。
「待って、ヴラドさん!」
だがラストは落ち着いた声で言った。
「大丈夫ですよ」
「ヴラドさんは、私を消失させることは出来ません」
そう告げると、ラストはヴラドに向かって歩み寄る。
「ここでは、あなたもやりにくいでしょう」
そう言って、ヴラドを伴い部屋の外へと出て行った。
――しばしの静寂。
やがて障子が開き、ヴラドが一人で戻ってくる。
その服には、はっきりと血が付着していた。
ヴラドは何も言わず、フンッと鼻を鳴らし席に座る。
ラビィは不安そうにその姿を見つめた。
無言の時間が、ほんの少し流れた、その時。
――再び、障子が開いた。
一行は息を呑む。
ヴラドは低く言い放った。
「我は……確実に、こやつを処刑した」と
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