第54話
ラストは小さく息を整えると、今度は自分自身の話を始めた。
「次は……私のことをお話ししましょう」
静まり返った室内で、ラストの声だけが淡々と響く。
「私はラビィさん。あなたと初めてお会いした時も、そして今日ここへ来た時も、メンバーたちと共にいます」
その言葉に、一行は思わず周囲を見回した。
だが、どこにも人の気配はない。ウルやロウのような獣の気配すら感じられなかった。
「……誰も、いない?」
ラビィが呟く。
「ええ。それが、このゲーム内ルールの二つ目の盲点です」
ラストはそう言って、静かに視線を巡らせた。
「この世界では、ラビィさんのメンバーのように“偉人”と呼ばれる存在」
「ユイさんが連れているような動物」
「さらに数は少ないですが、他惑星の異星人をメンバーとして連れているプレイヤーも存在します」
ラストは続けた。
「そして……私のような“メンバー”を連れている者も」
部屋の外を警戒していたジャンヌが、念のため廊下を確認し、首を振りながら戻ってくる。
「……やはり、誰もいません」
その瞬間、ヴラドが鋭い視線でラストを睨み付けた。
ラストはそれを受け止めるように微笑み、胸ポケットから一輪の花を取り出すと、ヴラドへ差し出した。
次の瞬間
ヴラドはその手を強く振り払った。
花は宙を舞い、ひらひらと床へ落ちる。
「貴様……!」
ヴラドの声が低く唸る。
「ふざけるのも大概にしろ!」
だがラストは怒る様子もなく、静かにその花を拾い上げた。
そして、淡々と言った。
「私のメンバーに、何をなさるのです?」
一行は息を呑んだ。
「ふふっ……そうです」
ラストは花を見つめながら続ける。
「人、動物、異星人そして植物も、データ抽出の対象となります」
ラビィはハッとする。
確かに、ゲームルールにはそう記されていた。
“植物もまた、データ化可能な対象である”と。
ラストは視線を上げ、ラビィを見据えた。
「ルールに書いてありましたよね?ラビィさん」
ラビィは静かに頷く
そして、最後にこう告げた。
「もし私が今、ヴラドさんを消失させようと思えば……容易く出来ました」
「あれほど近くに、無防備で近づいて来られたのですから」
室内の空気が、一気に張り詰める。
「これが……」
ラストは静かに言い切った。
「二つ目の質問の答えです」
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