表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/150

第53話

孔明は、しばらく考え込むように視線を伏せてから、静かに口を開いた。

「ラビィさん。一つ、確認させてください。あなたのご友人であるユイ殿のメンバー構成を覚えていますか?」


突然の問いに、ラビィは一瞬きょとんとする。

「え? ユイちゃんのメンバー?」

首を傾げながらも、すぐに思い出す。

「えっと……ウルとロウ、それからオウ。あっ、あと亀のミーですね」


「ありがとうございます」

孔明は頷き、さらに問いを重ねる。

「では、そのメンバーたちの“種族”を、もう一度はっきり言ってもらえますか」


ラビィは言われるがままに答える。

「ウルとロウは狼で、オウは鷹にミーが亀……ですよ?」


その瞬間だった。

孔明の目が、わずかに見開かれた。


孔明の視線が、ラビィからラストへとゆっくり移る。

「……おかしくありませんか?」

静かな声だったが、その場の空気がわずかに張り詰めた。

「鷹と亀が一匹づつと狼が二頭。同一種……いえ、正確には同一系統のデータが同一パーティ内で使用される事は、この世界では原則として不可能なはずです」


ラビィの胸が、ドクンと強く脈打った。

「……あっ」

思わず声が漏れ、はっとしたようにラビィはラストの方を向く。


その視線を受け止め、ラストは一瞬だけ口元を緩めた。

そして次の瞬間

パチ、パチ、パチ。

乾いた音を立てて、ゆっくりと手を鳴らす。


「あのヒントでここまでとは……さすがは孔明殿」

どこか楽しげで、しかし底の見えない声だった。

「聞きしに勝る智略。正直驚きましたよ」


室内の空気が、確かに変わった。

この男は、ただ情報を持っているだけではない。

“分かっていて”ここへ来た。

ラビィはそう、直感的に理解していた。


孔明が話を終えるとラストは静かに視線を巡らせ、ひとりひとりの顔を確かめるようにしてから口を開いた。

「厳密に申し上げますと……孔明殿、ジャンヌ殿、コロンブス殿、そしてヴラド殿」

一瞬、言葉を区切る。

「皆さまは“人間”という同一種族ではありませんか?」


ラビィたちは思わず息を呑んだ。


「それを踏まえれば、狼が二匹居ても何ら不思議ではございません」

淡々とした口調で、ラストは続ける。


「では仮定の話をしましょう」

ラストの視線が、まっすぐにラビィへ向けられる。

「諸葛亮孔明という人物のデータを、他の誰かが使用出来ると思いますか?ラビィさん」


ラビィは迷わず首を横に振った。

「……それは、ルール違反になると思います」


「ええ。その通りです」

ラストは満足そうに頷いた。

「それが、このゲームの“絶対ルール”」


その様子に、コロンブスが苛立ちを隠さず口を挟む。

「つまり……どういう事だ?回りくどい言い方はやめてくれ」


ラストは気分を害した様子もなく、静かに答えた。

「このゲームにおいて禁止されているのは“同一人物”、あるいは“同一生命体”のデータ使用です」

「しかし同一種族のデータ使用は、禁止されていない」


ラビィの中で、何かがはっきりと形を持ち始めていた。


「ユイさんの場合も、おそらくは別々の狼の個体からデータを抽出したのでしょう」

ラストはそう結論づける。


「そして、これが……」

一拍置いて、ラストは言った。

「MKへと繋がる、ひとつ目の答えです」


言葉が落ちた瞬間、室内は静まり返った。

ラビィは無意識のうちに拳を握りしめていた。


まだ“ひとつ目”

つまり、この先にまだ続きがある。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!


更新日時は毎日致します。

平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話

土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話

で行います。


少しでも

面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!

感想などもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ