表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/150

第51話

ほら穴でのアイテム回収クエストを終えてからというもの、ラビィ一行は比較的穏やかな日々を送っていた。

危険度の高い依頼は避けつつ、着実に経験を積み、確実に成果を重ねていく。

そんな、少し肩の力を抜いた冒険の連続だった。


ある日、ギルドの掲示板前で依頼を眺めていたラビィの背後から、不意に声がかかる。


「ラビィ、活躍してるみたいだな」


振り返った先に立っていたのは、落ち着いた雰囲気の青年だった。

その足元には、白い毛並みの小さな虎の子がちょこんと座っている。


「佐助さん!お元気でしたか?」


先のレイドクエストで共に戦った青年。

虎の子は周囲をきょろきょろと見回したあと、ラビィの足元にいたドラキュを見つけると、興味深そうに近づいていった。


「キュ?」


ドラキュが首をかしげると、虎の子は前脚を伸ばしてドラキュに飛びかかった。

次の瞬間、二匹はじゃれ合うように転がり始めた。


「おいおい、あんまり虎徹こてつをいじめないでくれよ」


苦笑しながら言う佐助に、ラビィも思わず笑みをこぼす。


「ラビィ、少し……話いいか?」


その言葉に、ラビィは一瞬だけ驚いた表情を浮かべた。


「話……ですか?」


佐助は小さく頷き、ギルド内に設けられた個室の方を指差す。


「ここじゃ人目もある。向こうでいいか」


ラビィは仲間たちに視線を向け、頷きを返す。

ドラキュと虎徹は相変わらずじゃれ合いながら、自然とその後をついてきた。


扉が閉まり、外の喧騒けんそうが遠のいた静かな空間で、佐助は表情を引き締めた。


「最近……MKが、かなり活発になってきてる」


その言葉に、室内の空気がわずかに重くなる。


「強制ログアウトになったプレイヤーが、もう結構な数だ。……そのせいで、ゲーム自体を辞めちまったやつもいる」


ラビィは息をんだ。

MKの噂は、確かに耳にはしていた。

しかし、それがここまでの事態になっているとは思っていなかった。


「このまま増えすぎると……普通に遊ぶどころじゃなくなるかもしれない」


佐助の声は静かだったが、その言葉は重く胸に残った。


「……そう、なんですね」


ラビィはそう答えることしかできなかった。

個室の隅では、ドラキュと虎徹が何事もないようにじゃれ合っている。

その光景が、かえって現実との落差を際立たせる。

しばらく話し合うラビィと佐助。


「また、何か分かったら連絡する」


そう言って佐助は立ち上がり、虎徹を呼び寄せる。

名残惜しそうにドラキュが小さく鳴くと、虎徹も一度だけ振り返った。


「じゃあな、ラビィ」


その背中を見送りながら、ラビィは胸の奥に芽生えた小さな不安を、まだ言葉にできずにいた。


静かな日常の裏で、確かに何かが動き始めている。

その兆しだけが、確実に残されていた。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!


更新日時は毎日致します。

平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話

土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話

で行います。


少しでも

面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!

感想などもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ