第50話
ラビィ、コロンブス、ヴラド、ジャンヌ、そしてドラキュ。
四人と一匹は巨大な大扉の前に立ち、全力で挑んでいた。
「せーのっ!」
押す。
引く。
叩く。
体当たりする。
だが大扉は、微動だにしない。
「……冗談だろ」
コロンブスが息を切らしながら呟く。
ヴラドも腕を組み、険しい表情で扉を睨んでいた。
その時だった。
「皆さん、これを……」
孔明の声に、全員が振り向く。
大扉の脇。
壁に埋め込まれるように、一枚の石碑がひっそりと立っていた。
一行は石碑へと近づく。
表面には、見慣れぬ文字がびっしりと刻まれている。
誰も読み取れず、困惑した空気が流れる中
孔明だけが、その文字を静かに見つめていた。
やがて、ゆっくりと口を開く。
「……魔を退け、苦難を越え、ここに立つ勇者たちへ――」
その声は低く、確信に満ちていた。
「――その資格を認め、道を授ける」
孔明が語り終えた、その瞬間。
――ゴォ……。
音もなく。
軋むことすらなく。
あれほど何をしても動かなかった大扉が、
まるで最初から存在しなかったかのように、軽やかに開いた。
「……え」
ラビィが思わず声を漏らす。
孔明は小さく息を吐き、振り返った。
「石碑の文字は、私が生きていた時代のものです。古代中国文字でした」
「そうだったの……」
驚く一行をよそに、開かれた扉の先が姿を現す。
その奥には、静かな空間。
中央にひとつの台座があり、その上に
ひとつの鍵が、置かれていた。
ラビィは一歩、また一歩と近づき、そっと鍵を手に取る。
その瞬間。
端末が静かに震え、表示が浮かび上がった。
《クエストクリア》
どこを開く鍵なのか。
何を開く鍵なのか。
それは、まだ分からない。
けれど。
ラビィは鍵を胸に抱きしめ、天を仰ぎ
全ての想いを込めて叫んだ。
「半蔵さん! やったよ! 私……ちゃんと出来たよ!!」
その瞳から、涙が零れ落ちる。
だが、その顔には
やりきった者だけが浮かべる、満足そうな笑顔があった。
それを見て。
ジャンヌは静かに微笑み、
コロンブスは照れ隠しのように鼻を鳴らし、
孔明は目を閉じて小さく頷き、
ヴラドは誇らしげに腕を組む。
ドラキュもまた、ラビィの肩に飛び乗り。
「キュ」
優しく鳴いた。
こうして
ラビィたちは、ひとつの答えへと辿り着いた。
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