第43話
自室に戻ったラビィは、端末を手に取ると迷うことなく操作を始めた。
レイドクエスト報酬――限定メンバーデータの登録。
「……どんな人なんだろ」
指先が軽く震えながら、確定を選ぶ。
端末が淡く光り、新しいウィンドウが開いた。
名前:NO NAME
種族:竜の子
固有スキル:竜族の末裔
スキル内容:成長過程による
補足事項:限定メンバーはメイン・サブのいずれにも該当しない
「え?」
思わず声が漏れた。
さらに表示を読み進めて、ラビィは小さく首をかしげる。
「固定メンバーでも、サブメンバーでもない……?」
説明を確認していくうちに、その立ち位置が少しずつ見えてきた。
限定メンバーは特別枠。
メインメンバーとは別に、常に同行可能な存在。
戦闘能力は未成熟だが、成長に応じて役割が広がる――いわば、マスコット兼育成枠。
「……ペット、みたいな?」
思わず笑ってしまう。
サブメンバー問題が一気に解決、とはいかなかった。
けれど代わりに、想像していなかった“新しい相棒”が増えたのだ。
「なーんだ、そういうことか」
拍子抜けと同時に、なぜか胸の奥が少し温かくなる。
その瞬間、端末の画面が淡く光り、立体映像が展開される。
ホログラムとして投影された、小さな竜の姿。
丸い体に、まだ未発達な翼。
つぶらな瞳でラビィを見上げている。
「可愛い〜!あっ、名前付けてあげなきゃだったね」
《NO NAME》
ラビィは少し考え、口元を緩めた。
「ドラゴンの子、だよね。
うーん、だったら……ドラキュ、でどう?」
ドラゴンの子=ドラキュラ
ドラキュラからもじった、短くて呼びやすい名前。
ホログラムの小さな竜は、しばらく瞬きをして
「きゅ」
短く、小さく鳴いた。
「ん?気に入った、ってことでいいのかな」
ラビィは思わず笑う。
名前の登録を確定すると、
《限定メンバー:ドラキュ 使用可能》
という表示が画面に浮かんだ。
「即戦力じゃないけど……まあ、いいか」
新しい仲間
いや、新しい相棒。
そう思うと、自然と気持ちが軽くなる。
「アースくん、今ごろ確認して驚いてるだろうな」
新戦力を期待してログアウトした先で、ペットが出てきたのだ。
その反応を想像して、ラビィはくすりと笑った。
端末を閉じると、部屋は静寂に包まれる。
ドラキュの姿は、もうそこにはない。
それでも、確かに“増えた”感覚だけは残っていた。
ラビィはベッドに身を沈め、天井を見上げる。
夜は、静かに
そして少しだけ、楽しげに更けていった。
ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!
更新日時は毎日致します。
平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話
土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話
で行います。
少しでも
面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!
感想などもお待ちしております。




