第42話
甲板に残る余熱の中、参加者たちの端末には静かに報酬選択画面が浮かび上がっていた。
「限定装備か……いや、こっちも捨てがたいな」
「新エリア解放ってのも気になるよね」
「ああ、迷うな……」
あちこちで、そんな声が上がる。
三つの選択肢。
限定メンバーデータ。
限定装備品。
限定エリア解放。
それぞれが、自分たちの未来を思い描きながら指を伸ばしていた。
「僕はこれにする」
アースが少し緊張した面持ちで口を開く。
「限定メンバーデータです。やっぱり……戦力は大事なんで」
「うん、アースくんならそうだと思った」
ラビィはやさしく笑ってうなずいた。
「ラビィさんは?」
「私も、同じ」
迷いはなかった。
「データ抽出を、ゲーム内で出来るのは大きいから」
端末を操作し、ラビィも限定メンバーデータを選択する。
だが次の瞬間、表示された注意書きに目を留めた。
《限定メンバーのデータ登録・確認は、ログアウト後に行われます》
「……そっか。今すぐは、分からないんだ」
少し肩の力を抜きながら、ラビィは端末を閉じた。
クエストクリアの高揚感に包まれながら、参加者たちは次々と船を降り始める。
笑い声と達成感が、砂浜に広がっていった。
「じゃあ、先に行きますね」
アースが少し照れたように頭を下げる。
「本当にありがとうございました、ラビィさん」
「こちらこそ。無事でよかったよ」
アースのパーティは、そのままログアウト。
限定メンバーデータの反映を確認するためだろう。
ラビィは残ったメンバーたちを見回し、ふっと息をついた。
「……何とか、終わったね」
「ええ。よくやりました、ラビィちゃん」
ジャンヌが微笑み、孔明も静かにうなずく。
「大きな一歩ですな」
「はは、久々に骨のある戦いだったぜ」
コロンブスが肩を回し、ヴラドは腕を組んだまま満足そうに鼻を鳴らした。
サブメンバーの問題も、これで一旦は解決の道筋が見えた。
ラビィの胸に、久しぶりの安堵が広がる。
「じゃあ、一度街に戻ろっか」
そう言って、ラビィは笑う。
中世区画の宿泊施設に戻ってきた一行
「また、すぐ戻って来るよ」
「ええ。待っています」
「次はどんな騒ぎになるやらだな」
「楽しみだ」
それぞれの声を背に、ラビィはログアウトを選択した。
メンバーたちは、ラビィが消えた場所を見つめながら、静かにその帰りを待っていた。
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