第41話
巨大な触腕が、甲板を叩くたびに衝撃が走る。
だが参加者たちは怯まず、一本、また一本と巨大なイカの足を切り裂いていった。
「今だ、まとめていくぞ!」
「右の足、弱ってるわ!」
各パーティの怒号と指示が飛び交い、甲板は戦場そのものと化している。
その中で、アース一行も必死に武器を振るっていた。
だが次の瞬間、仲間の一人が触腕に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「っ……!」
端末が赤く点灯し、アースのパーティ全員が光に包まれた。
「強制移動……!」
次の瞬間、彼らの姿は消え、クエスト開始位置へと戻されていた。
同じように、いくつかのパーティが次々と戦線を離脱していく。
「くそ……人数が減っていくぞ!」
「それでも、まだいける!」
ラビィたちは歯を食いしばりながら戦い続けた。
「私たちが前に出るよ!」
「助かる!」
「このまま押し切ろう!」
知らない相手同士でも、ここでは共に戦う仲間……
言葉は自然と噛み合っていく。
誰もが同じ目標を見据え、多人数でのクエストをクリアしようとしているのがはっきりと伝わってきた。
だが時間は容赦なく過ぎ、巨大な魔物は倒れる気配を見せない。
触腕は傷だらけだが、なおも暴れ続けている。
その時だった。
「おーい、戻ってきたぞ!」
「次こそ、負けないわよ!」
先ほど強制移動させられたパーティたちが、次々と甲板へと戻ってくる。
アースの姿も、その中にあった。
「ラビィさん! もう……もう倒れません!」
「うん。一緒に頑張ろう」
ラビィはうなずき、再び前へと踏み出した。
魔物の動きは明らかに鈍っている。
瀕死……
誰の目にも、それは明らかだった。
「これで仕留める、みんな総攻撃だよ!」
「これで終わらせる!」
全員が、最後の力を振り絞る。
刃が、魔法が、意志が重なり合う。
やがて、巨大なイカの魔物は大きく身をよじり、甲板に崩れ落ちた。
訪れる静寂。
そして次の瞬間。
《レイドクエスト クリア》
澱んでいた空気が晴れ、甲板に太陽の光が差し込む。
海は穏やかさを取り戻し、船は静かに揺れていた。
「……やった?」
「やったぞ!」
「クリアだ!」
歓声が上がり、あちこちで喜びの声が弾ける。
ラビィも思わず笑顔になり、アースとハイタッチを交わした。
「お疲れさま!」
「ラビィさんのおかげです!」
孔明、ジャンヌ、コロンブス、ヴラドとも互いにうなずき合い、戦いを称え合う。
そして参加者全員の端末が、再び光を放った。
《クエストクリア報酬 選択》
三つの選択肢が、静かに表示されていた。
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