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第40話

巨大船の甲板へと足を踏み入れた瞬間、ラビィは思わず息をのんだ。

足元の板張りは古びているが、(きし)む音ひとつなく不気味なほど静かだ。


周囲を見渡すと、自分たちと同じように乗り込んできたパーティが点在していた。

数えてみれば、およそ二十組ほど。

誰もが警戒した表情で、船内の様子をうかがっている。


ざわ……

ざわざわ……


小声で交わされる会話、鎧や装備が触れ合う音。

甲板全体が落ち着かない空気に包まれた、その時だった。


ピン、と一斉に鳴り響く電子音。

全プレイヤーの端末が、まるで示し合わせたかのように光を放つ。


「来た……!」


ラビィもすぐに端末を確認する。



【レイドクエスト発生】


■クエスト内容

1.船内に隠されている財宝を一定数回収

2.船内の屍人間系魔物を一定数撃退

3.上記条件達成後に出現する大型ボスを撃破


■クリア報酬(以下より一つ選択)

・限定メンバーデータ

・限定装備品

・限定エリア解放


■注意事項

・本クエスト中、メンバー撃退によるメンバー消去は発生しない

・上記理由により強制ログアウト対象外

・メンバー敗北時はクエスト開始地点にて一定時間経過後、再挑戦可能

・再挑戦数によりリスタート時間は延長



「……消去、されない?」


ラビィの呟きに、孔明が即座に反応した。


「つまり、ここでは“失う恐れなく全力で戦え”ということですな」


ヴラドが冷静に言葉をはなつ


「幾度も倒れられるとは言うが、再開の度に時間が伸びるのであれば……あまり倒れるのは好ましく無いな」


周囲のパーティも同様に端末を見つめ、ざわめきが一段と大きくなる。


そして、容赦なく表示される文字。


【クエスト開始まで……10、9、8――】


「始まる!」


ラビィはアースの方を振り返った。


「無理はしないで。危ないと思ったら、すぐ引いて」


「は、はい……!」


アースは強くうなずく。


「僕たちは財宝探索に回ります。戦闘は……その、できるだけ避けます!」


「それでいいよ!」


ラビィはそう言って微笑み、自分たちのメンバーへと向き直る。


「行こう。私たちは魔物の撃退を優先!」


【3、2、1】


【レイドクエスト開始】


合図と同時に、船内へと一斉に散っていくパーティたち。

ラビィたちも迷わず暗い通路へと駆け込んだ。


船内には、腐臭と湿った空気が立ちこめている。

ほどなく、鈍い(うめ)き声とともに現れる屍人間たち。


「来るよ!」


戦闘は激しかったが、連携は取れていた。

孔明の指示、ジャンヌの守り、ヴラドの威圧、コロンブスの突破力。

ラビィ自身も、確かな手応えを感じながら刃を振るう。


一方、アースたちも慎重に財宝を回収していた。


そして――


ピン。


ラビィの端末が再び鳴る。


【条件達成を確認】

【大型ボス解放】


「……来た」


嫌な予感に導かれるように、ラビィは甲板へと駆け出した。


その瞬間。


海面が、大きく盛り上がった。


「な……っ」


次の瞬間、黒くぬめる巨大な触腕が、船体へと叩きつけられる。

さらにもう一本、そしてもう一本。


甲板を覆い尽くすほどの巨影。


海より現れたそれは、船をも凌ぐ巨大なイカの魔物だった。


「で、でかすぎだろ……!」


コロンブスが呆然と呟く。


甲板が大きく揺れ、悲鳴と怒号が飛び交う。


その中で、遅れて数組のパーティが駆け上がってくる。

アースたちの姿も、その中にあった。


「ラビィさん! あ、あれ……!」


恐怖に震える声。


ラビィは一瞬だけ振り返り、そして前を向いた。


「大丈夫。自信を持って!」


巨大な魔物が、再び触腕を振り上げる。


「来るよ!」


船上で、真のレイド戦が幕を開けた。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!


更新日時は毎日致します。

平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話

土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話

で行います。


少しでも

面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!

感想などもお待ちしております。

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