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第3話

月面都市ルナ=アルカディアの朝は、いつも同じ。


人工光が一定の角度で差し込み、気温も湿度も、わずかな誤差しかない。


それでもラビィは、目を覚ました瞬間に思った。

帰ってきたのだ、と。


机の上には、一本の竹簡ちくかん

古びた表面に刻まれた、未完の文字。

それは夢の残滓ざんしではなく、確かに「過去から持ち帰ったもの」だった。


「現実、だよね...」


小さく呟き、身支度を整える。

今日は、いつも通りの授業がある。


授業の合間、学習室でラビィは1人検索端末を操作していた。


過去の戦争、英雄の名、勝敗の分析。

スライドに映し出される文字列は、どれも知っている内容だ。


だが……同じ名前でも、重さが違う


諸葛亮孔明。


その名は、ここでは「優れた軍師」という一行で片付けられる。


だがラビィは知っている。

迷い、考え、夜を越えてなお 答えを探し続ける、一人の人間を。


授業が終わり、廊下を歩きながら、思考は自然とゲームへ向かう。


《クロノス・レガリア》

パーティーメンバー依存型成長。

自分の在り方は、誰と共に進むかで決まる。


孔明のデータは、圧倒的な「知」を持つ。

指揮、分析、全体把握。

だが、それだけでは足りない場面も、必ず来る。


(知を活かすには……力が要る)


帰宅後、自室に籠もり、次の行き先を考えながら検索端末を開く。


効率を考えれば、知識系を重ねる選択もある。

だが、孔明が見ていた世界を思い出す。


戦場。

血と泥。

机上の理論だけでは、届かない現実。


夜は、静かに更けていった。


竹簡を手に取り、指でなぞる。

未完成の文字。

考えることを、他人に委ねないための形。


「……誰と行くか、だよね」


眠れぬまま迎えた朝。

学校からの帰り道、都市ドーム越しに見える地球を見上げる。


ふと、ラビィの脳裏にある情景が浮かぶ。

「炎…」

「剣……」

「祈りの言葉……」


群衆の前に立つ、若い少女の背中。

その姿が象徴するものは、はっきりしていた。


戦う意志。


信じる力。


帰宅すると、カレンダーを開く。

次の休校日が、淡く強調表示されている。


「うん決めた!この日に行こう!」


ラビィは端末を閉じ、椅子にもたれた。

孔明の知を宿した風は、次にどこへ向かうのか。


選択は、ラビィの心の内ではすでに決まっていた。


月面都市の夜は、静かだった。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!


更新日時は毎日致します。

平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話

土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話

で行います。


少しでも

面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!

感想などもお待ちしております。

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