第38話
食事処での話し合いから、いくつかの日が過ぎた。
ラビィたちは中世区画を中心に、無理のない範囲でクエストをこなす日々を送っていた。
戦闘に慣れ、連携も噛み合い始めたことで、自然と他のプレイヤーたちとの交流も増えていく。
気がつけばラビィのフレンド登録数も、最初の頃とは比べものにならないほど増えていた。
フレンドの顔ぶれは実に様々だった。
最初のメンバー消失によって強制ログアウトを経験し、再ログインしてきた者。
あるいは、まだゲームを始めたばかりで、右も左も分からずラビィを頼ってくる者。
それでも、はっきりと言えることが一つあった。
ラビィたちのゲーム開始の出遅れは、もうほとんど取り戻している。
そんなある日のことだった。
ラビィのゲーム内端末に、一件のメール通知が届く。
差出人はアース。
ラビィよりも後にゲームを始め、何かと彼女を頼ってくるフレンドの一人だった。
「アースくん?なんだろ」
ラビィはその場でメールを開く。
「ラビィさん、大変です!
今、海のエリアにいるんですが……今まで無かった、何かすごく大きな物がいます。
周りのプレイヤーたちもざわついてて、みんな遠巻きにしてる状態です。
何か知ってますか?
とりあえず、一度見に来てください!待ってます!」
読み終えた瞬間、ラビィは思わず端末を握りしめた。
“今まで無かったすごく大きな物”“周囲のざわつき”。
どれを取っても、ただ事ではない。
「とりあえずアースくんの所へ行ってみよう」
短くそう告げると、孔明たちは無言で頷き、ジャンヌとコロンブス、ヴラドもすぐに支度を整える。
一行は目的地を海エリアに定め、移動を開始した。
到着すると、そこには確かに、普段とは違う空気が漂っていた。
波音に混じって、ざわめく人の声。
一定の距離を保ち、同じ方向を見つめるプレイヤーたち。
その中から、見覚えのある顔が駆け寄ってくる。
「ラビィさん、待ってました!」
アースは切羽詰まった表情で、海の方角を指差す。
「アレです……アレ!」
その先に、何があるのか。
ラビィは息を整え、静かに視線を向けた。
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